北海道産 すしネタ・刺身製造に3D活用

引用元:水産新聞 2016年8月22日 掲載

3Dフリーザーで高品質実現

札幌市の㈱丸二永光水産㊁札幌清田食品(佐久間利紀社長、電話011・886・6363)はことし3月に創業し、北海道産原料のすしネタ・刺身商材の製造・販売に乗り出している。3D凍結とアルコール凍結の最新冷凍技術を活用。四季折々の生鮮魚介類で高品質の付加価値商品づくりを進め、需要が伸びている国内外の生食市場に北海道産の拡販を目指す。

国内外生食市場へ拡販

同社の前身は、すしネタ・刺身商材を主力に手掛ける岩手県陸前高田市の㈱武蔵野フーズが東日本大震災で被災し、札幌市清田区に構えた工場の業容拡大に向け、平成23年に設立。武蔵野フーズが昨年度、陸前高田市に業務を集約、枝幸町の水産加工・㈲丸二永光水産の永澤二郎社長に札幌工場を売却、事業を譲渡した。佐久間社長は当時営業、製造の統括担当。「北海道で数少ない生食の高次加工技術を有する工場を残したい思いと、一緒に5年間頑張ってきた大切な仲間や従業員と共に工場を存続したい思い」の両面からホタテの原料取り引きをきっかけに縁が深まった永澤社長に相談。出資の快諾を得て、㈲丸二永光水産の系列会社として新たな一歩を踏み出した。

オホーツクの産地に拠点を持つ㈲丸二永光水産が事業を継承したことで、北海道産の原料調達から一次加工、最終製品まで一気通貫の生産態勢が実現。価格の安定化、トレーサビリティーの確立による安全・安心な商品供給をアピールしている。商品の高品質化に向け、全国中小企業団体中央会のものづくり・商業・サービス新展開支援補助金で7月に導入したのが、北海道初となる3Dフリーザーの連続式・ストレートタイプ(古賀産業㈱製)。従来保有のアルコール凍結機と併せて北海道に高鮮度凍結機の量産型を備えている工場はなく、高品質冷凍商品の提供のため、両最先端凍結機を駆使し、フィレー、スライス、刺身の盛り合わせなど生原料から1回凍結の「ワンフローズン」を基本に末端の生食需要に応えていく。特に3Dフリーザーは真空包装前の刺身盛り合わせなどの商品づくりに威力を発揮。一方向から直接冷気を吹かける従来のフリーザーと異なり、全方位から高湿度の冷気で食材を包み込むため、冷風で食材が飛び散って崩れることがない。

佐久間社長は「刺身の盛り合わせを、そのままの状態で凍結できる」と説明する。また、「食材の表面が乾燥せず、うま味成分を保つ。刺身の角(カット断面)も立った状態で凍結ができる」と強調。凍結速度が速く、氷結晶が均等に生成されるため、細胞膜へのダメージが最小限で、解凍後も凍結前とそん色のない鮮度・品質感を再現。加えて凍結効率が良く「消費電力などのコスト削減にもつながる」と話す。

 

庫内では高湿度の冷気が食材を包み込むように冷却・冷凍
ホッキを貝殻盛りで凍結できる
マグロの柵は冷解凍してもスライス角を保持

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