専門店やコンビニスイーツとして人気の「ドーナツ」。 ロス削減や通販展開のために冷凍を検討する際、多くのパティシエや製造担当者が直面するのが「解凍後の劣化」です。 「シュガーコーティングが溶けて、ベタベタになってしまった(砂糖の泣き)」「ふんわり感が消え、パンが固くなったようにパサパサする」。 これらは、凍結スピードが遅いために起きる「水分移動」と「デンプンの老化」が原因です。
今回は、常温まで冷ましたドーナツ(トッピング済み)を使用し、作りたての見た目と食感を維持できるか検証しました。
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テスト条件と結果

今回は、揚げた後に放冷し、室温(21℃)と同じ温度帯まで落ち着かせた状態からのスタートです。
- サンプル名:ドーナツ
- 投入温度:21℃
- 取出温度:-18℃(中心温度)
- 凍結時間:30分
この結果から分かる「3Dフリーザー」3つのメリット

常温から30分で凍結完了。このスピードが、デリケートな揚げ菓子であるドーナツの品質を守ります。
1. 砂糖・グレーズの「泣き(溶解)」を防ぎ、見た目をキープ
ドーナツの魅力である粉糖やグレーズ(砂糖衣)は、水分に非常に弱い素材です。緩慢凍結で生地の細胞が壊れると、解凍時に水分が染み出し、その水分で砂糖が溶けてドロドロになる「泣き」現象が起きてしまいます。 30分で急速凍結することで、生地内部の水分を微細な氷のまま固定します。解凍しても余計な水分が表面に出てこないため、パウダースノーのような粉糖や、シャリッとしたグレーズの質感がそのまま残ります。
2. 生地の「パサつき(老化)」を阻止し、ふんわり感を死守
イーストドーナツのようなパン生地タイプは、ゆっくり冷やすとデンプンが老化(白ロウ化)し、硬くボソボソとした食感になってしまいます。 今回のテストでは、デンプンが最も劣化しやすい温度帯を一気に通過させています。これにより、解凍後も「ふんわり・もっちり」とした、揚げたてに近い弾力が蘇ります。
3. 揚げ油の「酸化」を止め、油臭さを出さない
ドーナツは油で揚げるため、時間の経過とともに酸化が進みやすい食品です。凍結に時間がかかると、油が空気に触れる時間が長くなり、解凍時に独特の「油粘土のような臭い」が発生することがあります。 常温から短時間でマイナス温度帯へ落とし込むことで、酸化の進行を物理的にストップさせます。袋を開けた瞬間、古い油の臭いではなく、小麦と甘い香りが広がる高品質なドーナツを提供できます。
なぜ「デモテスト」が必要なのか?
ドーナツは、生地の種類やトッピングによって凍結の難易度が変わります。
- 生地タイプ:ふんわりしたイースト発酵生地か、ずっしりしたケーキ生地か。
- トッピング:水分を含みやすいチョコレートか、溶けやすいアイシングか。
- フィリング:中に生クリームやカスタードが入っている場合、その解凍バランスはどうか。
「クリーム入りのドーナツでも、生地がベチャつかないか?」「解凍方法は自然解凍でよいか?」 デモテストでは、貴社のレシピで作られたドーナツを実際に凍結し、解凍後の「トッピングの状態」や「生地の口どけ」を厳しくチェックしていただけます。
まとめ
今回のドーナツのテストでは、「21℃から30分」で処理することで、砂糖のベタつきを防ぎ、生地のふわふわ感と風味を完璧に維持できることが実証されました。
「ドーナツ専門店の味を、そのまま全国へ届けたい」「廃棄ロスを減らすために、閉店後の在庫を高品質にストックしたい」とお考えのベーカリー様、洋菓子メーカー様。 見た目と食感が命の「ドーナツ」こそ、3Dフリーザーの技術力で差がつきます。ぜひ一度、その仕上がりをお試しください。
