低温でじっくり火を通し、しっとりとした肉質と美しいピンク色の断面が魅力の「ローストポーク」。 しかし、製造現場においてブロック(塊)のまま冷凍するのは至難の業です。「中心が凍る頃には表面がカピカピに乾燥している」「解凍するとドリップが出てパサつく」「鮮やかなピンク色がくすんでしまう」といった課題があるからです。
今回は、加熱・冷却後の10℃の状態から、厚みのあるブロック肉を120分かけて芯まで凍結させました。 長時間冷却しても、あのしっとり感を守り抜けたのか。その結果をレポートします。
Contents
テスト条件と結果

- サンプル名:ローストポーク
- 投入温度:10℃(※冷蔵・芯温冷却後)
- 取出温度:-18℃(中心温度)
- 凍結時間:120分
この結果から分かる「3Dフリーザー」3つのメリット

10℃から120分。 肉の塊を中心まで凍らせるには、物理的に2時間程度の時間が必要です。重要なのは、この2時間、「肉を乾燥させずに守り続けられるか」です。
1. 長時間冷やしても「表面」を乾燥させない
一般的な冷凍庫(直風式)で2時間も強風を当て続けると、肉の表面は水分を奪われ、ジャーキーのように硬く変色してしまいます(冷凍焼け)。 ローストポークはしっとり感が命ですので、表面の乾燥は致命的です。
今回のテストでは、3Dフリーザーの高湿度冷気を使用しているため、120分間庫内に入れていても、肉の表面から水分を奪いません。 解凍後も表面が瑞々しく、トリミング(乾燥部分の削ぎ落とし)をする必要がないため、歩留まり(可食部)を最大限に確保できます。
2. 断面の美しい「ロゼ色(ピンク)」をキープ
ローストポークの価値は、カットした時の断面の色、いわゆる「ロゼ色」にあります。 しかし、冷凍に失敗して酸化が進むと、鮮やかなピンク色が茶色っぽく変色してしまい、見た目の美味しさが半減してしまいます。
包み込むような冷気で酸化を抑えながら凍結するため、解凍してスライスした際も、作った直後のような美しいピンク色が蘇ります。 オードブルやラーメンに乗せた時、その鮮やかな色が食欲をそそります。
3. 解凍してもドリップが出ず、「しっとり食感」を実現
「冷凍したローストポークはパサパサする」。これは、凍結時に細胞が壊れ、解凍時に肉汁(ドリップ)が流れ出てしまうからです。 特にブロック肉は、中心部が凍るまでの間に細胞破壊が起きやすい傾向があります。
今回のテストでは、厚みのある肉でも細胞を壊さないコントロールを行っています。 肉汁を繊維の中に閉じ込めたまま固定するため、解凍してもドリップがほとんど出ません。 口に入れた瞬間、シルクのようにきめ細かく、しっとりとした柔らかさが楽しめます。
なぜ「デモテスト」が必要なのか?
ローストポークは、肉の大きさや部位によって条件が変わります。
- サイズ:500g程度の小ぶりなブロックか、2kg以上の業務サイズか(大きいほど時間がかかります)。
- 部位:脂の多い肩ロースか、赤身主体のモモか。
- 包装:真空パックの状態か、裸の状態か。
「真空パックしたままでも2時間で凍るか?」「脂身が酸化して臭くならないか?」 デモテストでは、貴社の規格のお肉をお持ち込みいただき、「解凍後のドリップ量」や「スライスした断面の発色」を実際に確認していただけます。
まとめ
今回のローストポーク(ブロック)のテストでは、「10℃から120分かけて、乾燥させずに芯まで凍結」することで、パサつきと変色を防ぎ、しっとりとしたロゼ色の品質を維持できることが実証されました。
「低温調理した肉を、高品質なままストックしたい」「通販で、お店の味そのままのブロック肉を販売したい」とお考えの食肉加工業者様、飲食店様。 塊肉の水分を守り抜く技術を、ぜひ3Dフリーザーで体感してください。
