鯛の刺身のおいしさは、透き通るような美しい身の色と、噛んだ時の「シコシコ」とした弾力のある食感にあります。 しかし、一般的な冷凍を行うと、細胞内の水分が大きな氷となって組織を壊してしまいます。その結果、解凍後に身が白く濁ったり(白濁)、スポンジのようにスカスカになったりして、商品価値を大きく落としてしまいます。
今回は、加工直後の14℃の状態から、3Dフリーザーで30分間の急速凍結を行い、生食(刺身)レベルの品質を維持できるか検証しました。
Contents
テスト条件と結果

- サンプル名:鯛サク(真鯛・刺身用ブロック)
- 投入温度:14℃
- 取出温度:-18℃(中心温度)
- 凍結時間:30分
この結果から分かる「3Dフリーザー」3つのメリット

14℃から30分。 厚みのあるサク(ブロック)をこの短時間で凍らせることは、白身魚の細胞を守るための絶対条件です。
1. 白身魚の「透明感」を濁らせない
鯛の刺身において、見た目の「透明感」は鮮度のバロメーターです。 緩慢冷凍(通常の冷凍)で細胞が壊れると、光の屈折が変わって身が白く濁って見えてしまいます。これでは「冷凍もの」だと一目でバレてしまいます。
今回の「30分」という急速凍結なら、細胞を破壊せずに水分を固定できます。 解凍後も、向こう側が透けて見えるような瑞々しい透明感が残ります。皮を引いた後の、身と血合いの美しい紅白のコントラストも鮮やかに蘇ります。
2. 特有の「シコシコ食感」を完全キープ
鯛の魅力は、適度な噛みごたえ(弾力)です。 冷凍に失敗してドリップが出ると、身の水分が抜けて「グニャグニャ」あるいは「パサパサ」とした食感になり、鯛らしさが失われてしまいます。
3Dフリーザーは、微細な氷結晶で細胞を3D凍結するため、繊維の弾力性を損ないません。 薄造りにしても身がダレず、口に入れた瞬間のプリッとした歯ざわりと、噛むほどに広がる甘みが楽しめます。
3. 「湯引き(松皮造り)」も美しく仕上がる
鯛の皮にお湯をかけて冷水で締める「湯引き(松皮造り)」は、皮と身の間の旨味を楽しむ調理法ですが、冷凍すると皮が剥がれやすくなるのが難点です。
3Dフリーザーの「包み込むような優しい冷気」は、皮と身の結着を弱めずに凍結させます。 解凍後に切り分けても皮が剥がれず、皮目の模様が浮き立った美しい盛り付けが可能です。高級料亭の先付けとしても自信を持って提供できます。
なぜ「デモテスト」が必要なのか?
鯛は、天然か養殖か、また熟成具合によって水分量が異なります。
- 状態:朝締めの「活き」の状態(弾力重視)か、少し寝かせた「熟成」の状態(旨味重視)か。
- 加工:皮付き(湯引き用)か、スキンレス(皮なし)か。
- サイズ:小鯛のサクか、2kgオーバーの大鯛か。
「熟成させた鯛でもドリップが出ないか?」「昆布締めの状態でも凍るか?」 デモテストでは、貴社が扱う鯛をお持ち込みいただき、「解凍後の身の透明度」や「包丁を入れた時の感触」を実際に確かめていただけます。
まとめ
今回の鯛サクのテストでは、「14℃から30分で急速凍結」することで、白濁と食感劣化を防ぎ、刺身として通用する透明感と弾力を維持できることが実証されました。
「お祝い用の鯛を、一年中安定した価格で提供したい」「養殖鯛のブランド化を、冷凍技術で後押ししたい」とお考えの水産加工業者様、卸業者様。 白身魚の繊細な美しさを守る技術を、ぜひ3Dフリーザーで体感してください。
