ジェノワーズの命は、卵の気泡が作り出す「ふんわり感」と、口の中で溶けるような「しっとり感」です。 しかし、スポンジ生地はその名の通り「スポンジ」のような構造をしているため、乾燥しやすく、また冷蔵庫や冷凍庫のニオイを吸着しやすいという弱点があります。 「冷凍スポンジはボソボソする」というイメージは、乾燥による水分ロスが原因です。
今回は、25℃の状態から、予冷なしで3Dフリーザーへ投入し、生地の水分を守りながら凍結できるか検証しました。
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テスト条件と結果

- サンプル名:ジェノワーズ(スポンジケーキ・ホール)
- 投入温度:25℃(※粗熱取り後)
- 取出温度:-18℃(中心温度)
- 凍結時間:90分
この結果から分かる「3Dフリーザー」3つのメリット

25℃から90分。 空気の層が断熱材となるスポンジ生地において、この時間は「生地を傷めずに芯まで冷やす」ための最適なプロセスです。
1. 「高湿度冷気」で乾燥を防ぎ、キメの細かさを維持
ジェノワーズを一般的な冷凍庫(直風式)に入れると、強い風が表面の水分を奪い取り、カステラの端のようにパサパサになってしまいます。 これでは、解凍後にシロップを大量に打たないと食べられません。
今回のテストでは、湿度を保った冷気で包み込むことで、90分かけても生地の水分を蒸発させません。 解凍後の生地は指で押すと「しっとり」と吸い付くような感触があり、口に入れるとスッと溶ける、焼きたて特有のキメ細やかさが残ります。
2. 繊細な「気泡」を風圧で潰さない
ふわふわのジェノワーズは、強い風を当てると風圧で押しつぶされ、ボリューム(高さ)が減ってしまうことがあります。 せっかくのふんわり感が台無しになり、目が詰まった硬い食感になってしまいます。
3Dフリーザーは、優しく包み込むように熱を奪うため、繊細な気泡構造を一切壊しません。 焼き上がりの高さそのままで凍結されるため、ショートケーキに組み立てた時の見栄えも良く、食べた時の軽やかさも損なわれません。
3. 「スライス適性」が向上し、作業効率アップ
焼きたての柔らかいジェノワーズを薄くスライスするのは、熟練の技術が必要です。また、ボロボロとクラム(くず)が出やすく、断面がガタつきがちです。
急速冷凍で固めることで、誰でも均一に、かつきれいにスライスすることが可能になります。 断面がスパッと美しく切れるため、ナッペ(クリーム塗り)もしやすく、サンドした時の断面美(萌え断)も際立ちます。 「焼成→冷凍→(必要な時に解凍・スライス)→仕上げ」という工程を組むことで、毎朝の焼成作業から解放されます。
なぜ「デモテスト」が必要なのか?
ジェノワーズは、レシピやサイズによって条件が変わります。
- 配合:共立て(ジェノワーズ)か、別立て(ビスキュイ)か。バターの量や糖度。
- サイズ:5号ホールか、業務用の番重サイズ(シート)か。厚みがあるほど時間はかかります。
- ニオイ移り:他の食材と一緒に冷凍しても大丈夫か。
「ココアスポンジでも乾燥しないか?」「シロップを打ってから凍らせるべきか?」 デモテストでは、貴社のレシピで作ったスポンジを凍結し、「解凍後の口溶け」や「スライス時の作業性」を実際にパティシエの目線でご確認いただけます。
まとめ
今回のジェノワーズのテストでは、「25℃から90分かけて、乾燥させずに芯まで凍結」することで、パサつきのないしっとり感と、ふんわりとしたボリュームを維持できることが実証されました。
「クリスマスケーキのスポンジを、夏場からストックしておきたい」「多店舗展開のために、スポンジ焼成をセントラルキッチン化したい」とお考えの洋菓子店様、製菓工場様。 スポンジの水分を守る技術を、ぜひ3Dフリーザーで体感してください。
