
食品メーカーや飲食店の経営者の皆様にとって、製品の品質向上、販路拡大、そして生産性向上は常に重要な経営課題です。これらの課題を解決し、事業を次のステージへと進める強力なツールとして、「急速冷凍機」が注目を集めています。
急速冷凍機を導入することで、食材本来の鮮度や風味を損なうことなく長期保存が可能となり、新たな商品開発やEC販売、さらには海外輸出といった販路拡大の可能性が大きく広がります。また、計画生産によるフードロス削減や人件費の最適化など、経営効率の改善にも貢献します。
しかし、高性能な急速冷凍機の導入には、数百万円から数千万円に及ぶ高額な設備投資が必要となり、この点が多くの事業者様にとって大きな障壁となりがちです。そこで活用したいのが、国や自治体が提供する「補助金」制度です。
本記事では、2026年時点で活用できる主要な補助金の種類を網羅的にご紹介し、自社の事業計画に最適な補助金の選び方、そして複雑に思える申請の具体的な流れから、採択率を高めるためのポイントまでを詳しく解説します。導入コストへの不安を解消し、急速冷凍機の導入を通じて貴社の事業をさらに発展させるための具体的な行動を後押しできるよう、わかりやすくご説明してまいります。
Contents
なぜ急速冷凍機の導入に補助金が活用できるのか?

急速冷凍機の導入は、単なる一企業の設備投資に留まらず、日本全体の経済発展や社会課題の解決に寄与すると国が考えているため、積極的に補助金の対象となっています。その背景には、大きく分けて3つの理由があります。
まず1つ目は、日本の中小企業の「生産性向上と競争力強化」への貢献です。急速冷凍技術は、食品の品質を落とすことなく長期保存を可能にするため、計画生産を促進し、突発的な大量発注や人手不足といった課題に対応しやすくなります。これにより、フードロスの削減や労働生産性の向上につながり、結果として日本企業全体の競争力強化に貢献すると期待されています。
2つ目は、「サプライチェーンの強靭化と食料安全保障」の観点です。旬の食材や豊漁時の水産物などを高品質なままストックできることは、季節や天候に左右されない安定供給体制の構築に繋がります。これは、国内の食料サプライチェーンを強靭化し、食料安全保障の確保にも寄与する重要な役割を担っています。
そして3つ目は、「新たなビジネスモデルの創出支援」です。高品質な冷凍食品は、EC販売や海外輸出といった新たな販路を開拓するための強力なツールとなります。政府は、このような新たな事業展開(事業再構築)を後押しすることで、中小企業が持続的に成長し、多様なビジネスチャンスを掴むことを奨励しています。これらの国策としての目的を理解し、事業計画書に盛り込むことで、審査員の共感を得て採択の可能性を高めることができるでしょう。
【2026年最新】急速冷凍機の導入で使える主要な補助金4選

急速冷凍機の導入に活用できる補助金は数多く存在しますが、それぞれ目的や対象となる事業者、補助額、要件が異なります。自社の状況や導入の目的に合わせて最適な補助金を選択することが、採択への近道であり、事業の成功を左右する重要な要素となります。本稿では、その中でも特に多くの事業者に利用されており、急速冷凍機の導入に親和性の高い主要な補助金を4つ厳選してご紹介します。具体的には、「ものづくり補助金」「事業再構築補助金」「小規模事業者持続化補助金」「省エネルギー投資促進支援事業費補助金(省エネ補助金)」の概要を、次の章から詳しく解説していきます。それぞれの補助金の特徴を理解し、自社の事業計画に最もフィットするものを見つけていきましょう。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)

ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者が「革新的な製品・サービス開発」や「生産プロセス・サービス提供方法の改善」を行うための設備投資などを支援する制度です。急速冷凍機の導入は、このうち「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に該当することが多く、特に食品メーカーや水産加工業者にとって有効な選択肢となります。
例えば、新たな凍結技術を持つ急速冷凍機を導入することで、これまで難しかった食材の高品質な長期保存が可能になり、解凍時のドリップ量低減や食感・風味の維持といった品質向上が期待できます。これにより、歩留まりの改善や廃棄ロスの削減に繋がり、生産性向上が見込めます。また、計画生産が可能になることで、特定の時期に集中していた生産を平準化し、従業員の残業時間を削減したり、繁忙期の採用コストを抑えたりするなど、労働生産性の向上にも貢献します。
補助対象経費は、急速冷凍機本体の購入費を含む機械装置費が中心で、補助率は原則1/2(小規模事業者などは2/3)です。補助上限額は申請枠によって異なり、通常枠で750万円〜1,250万円、省力化(オーダーメイド)枠では750万円〜8,000万円と、大規模な設備投資にも対応しています。採択されるためには、付加価値額や給与支給総額の増加目標を明確に設定し、急速冷凍機導入によっていかに事業全体の生産性や収益性が向上するかを具体的に示す事業計画書の作成が重要です。
事業再構築補助金

事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症や物価高騰といった社会経済情勢の変化に対応するため、思い切った事業の転換や新分野への挑戦、事業再編などを図る中小企業などを支援する大型の補助金です。急速冷凍機の導入は、新たな事業モデルの構築や既存事業の変革において、中心的な役割を果たす設備投資として活用されるケースが多く見られます。
具体的な活用例としては、飲食店が店舗での提供に加え、急速冷凍機を使って看板メニューや冷凍総菜を商品化し、ECサイトでの全国販売やテイクアウト事業を始める「新分野展開」が挙げられます。また、水産加工業者がBtoBの業務用卸売から、高品質な高級冷凍ギフト商品を製造し、直接消費者に販売するBtoC事業へと事業形態を転換する「事業転換」のケースも考えられます。これらの取り組みは、急速冷凍機によって実現される高付加価値な冷凍食品が、新たな収益源や顧客層の獲得に直結するため、補助金の目的と非常に合致すると言えます。
この補助金は、補助額が数百万円から最大で数億円規模と非常に大きい点が特徴です。急速冷凍機の購入費用だけでなく、新事業に必要な建物の改修費や、ECサイト構築費、広告宣伝費なども補助対象となる場合があります。ただし、売上高減少要件を満たす必要があることや、経済産業省が定める「事業再構築指針」に沿った事業計画の策定が必須であり、申請のハードルは他の補助金に比べてやや高い傾向にあります。明確な新事業展開の構想があり、大きな投資を伴う事業変革を目指す企業にとって、強力な後押しとなるでしょう。
小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、常時使用する従業員数が少ない小規模事業者(製造業等:20人以下、商業・サービス業等:5人以下)を対象とし、販路開拓や生産性向上のための取り組みを支援する制度です。この補助金は、急速冷凍機本体の購入そのものを直接補助するものではありませんが、急速冷凍機を導入した後の「販路開拓」に関する費用を支援する目的で活用できます。
例えば、自社で急速冷凍機を導入し、新たに冷凍食品を開発した場合、その新商品を市場に投入し、認知度を高めて販売を促進するための様々な活動が補助の対象となります。具体的には、新商品の魅力を伝えるためのチラシ作成費用、商品を紹介するWebサイトの改修費用、地域の物産展や展示会への出展費用、新たな販路開拓に向けた広告掲載費用などが考えられます。
補助上限額は原則50万円(インボイス特例事業者などは100万円、特定の枠では200万円)と、他の補助金に比べて規模は小さいですが、比較的申請手続きが簡素で、小規模な事業者が新たな一歩を踏み出すきっかけとして非常に有効です。急速冷凍機導入後の「次の打ち手」として、販売戦略やマーケティング活動に費用をかけたいと考える小規模事業者にとって、この補助金は大きな助けとなるでしょう。
省エネルギー投資促進支援事業費補助金(省エネ補助金)

省エネルギー投資促進支援事業費補助金、通称「省エネ補助金」は、エネルギー使用量の削減を目的とした設備投資を支援する制度です。特に、既存の古い冷凍・冷蔵設備を使用しており、電気代の高騰に悩んでいる食品工場や物流倉庫などが、最新の高効率な急速冷凍機へ買い替える際に非常に有効な補助金となります。
この補助金の最大のポイントは、導入する設備によって「一定以上の省エネルギー効果」が見込まれることです。具体的には、導入後のエネルギー消費量が導入前と比較してどの程度削減されるかを、詳細な計算に基づいて示す必要があります。例えば、旧式の冷凍機から最新のインバータ制御付き急速冷凍機に入れ替えることで、年間〇〇kWhの電力量を削減し、電気代を〇〇円削減できるといった具体的な効果を示すことが求められます。同時に、CO2排出量の削減にも貢献できるため、環境配慮経営を目指す企業にとってもメリットが大きいと言えるでしょう。
補助対象経費は、省エネ性能の高い急速冷凍機本体の購入費が中心となり、補助率は対象経費の1/3から2/3程度が一般的です。申請にあたっては、導入する設備の省エネ性能に関する技術資料や、導入前後のエネルギー消費量を比較した詳細な計算書が不可欠です。エネルギーコストの削減と設備投資負担の軽減を同時に実現したい事業者にとって、この省エネ補助金は非常に有力な選択肢となります。
【目的別】自社に最適な補助金の選び方
これまでご紹介してきた4つの主要な補助金は、それぞれ目的や対象事業者が異なります。自社の「事業規模」「急速冷凍機の導入目的」「投資計画」に合わせて最適な補助金を選ぶことが、補助金採択への近道となります。この章では、具体的な目的別にどの補助金が最も適しているかを詳しく解説していきますので、ご自身の状況に当てはめながら読み進めてみてください。
新製品開発や生産プロセス改善が目的なら「ものづくり補助金」

急速冷凍機を導入して「これまで実現できなかった高品質な冷凍食品を開発したい」「既存の製造ラインの生産性を根本的に改善したい」といった目的を持つ事業者様には、「ものづくり補助金」の活用が最適です。この補助金は、革新的な製品開発や生産プロセスの改善を支援するものであり、急速冷凍機の導入が「革新性」を伴うものであると評価されることが重要になります。
例えば、特殊な液体凍結技術を持つ急速冷凍機を導入することで、解凍時のドリップ流出を大幅に抑え、獲れたての鮮度と食感を再現した高級鮮魚フィレの開発に成功するといったケースが考えられます。このような新製品は、従来の冷凍品ではアプローチできなかった都市部の高級レストランや百貨店といった新たな客層の開拓に繋がり、高い付加価値を生み出します。事業計画書では、急速冷凍機がいかにして自社の製品や生産方法に新規性をもたらし、市場での優位性を確立するのかを具体的に示すストーリーが、採択率を高めるカギとなります。
新規事業として冷凍食品事業を始めるなら「事業再構築補助金」

現在の主要事業が頭打ちで、「思い切って冷凍食品の製造・販売事業に新規参入したい」「飲食店経営から冷凍総菜のEC販売に事業形態を転換したい」といった、大胆な事業転換や新分野への挑戦を考えている事業者様には、「事業再構築補助金」の活用が非常に有効です。この補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響などを乗り越え、経済構造の変化に対応するための事業再構築を支援するもので、他の補助金と比較して補助額が大きい点が特徴です。
急速冷凍機の設備投資はもちろんのこと、新事業立ち上げに伴うECサイトの構築費用、冷凍商品を製造するための厨房改修費、新たな販路開拓費用など、幅広い経費が補助対象となる可能性があります。例えば、地域に根ざした人気飲食店が、来店客の減少を機に、看板メニューの冷凍ラーメンを全国に通販する新規事業を立ち上げる場合などがこれに該当します。ただし、事業再構築補助金は「新分野展開」や「事業転換」といった指針に沿った計画が求められるため、単に急速冷凍機を導入するだけでなく、明確な新規事業のビジョンと、それによって新たな市場をどのように開拓していくかを具体的に示す事業計画が不可欠です。
販路開拓が主目的の小規模事業者なら「小規模事業者持続化補助金」

従業員数が少ない小規模な事業者様で、すでに自己資金で急速冷凍機を導入している、あるいは導入を検討中で、その急速冷凍機で作った新商品を「もっと多くの消費者に知ってもらいたい」「新たな販路を開拓したい」と考えている場合には、「小規模事業者持続化補助金」が大変有効です。この補助金は、設備本体の購入費用を直接補助するものではなく、主に販路開拓や生産性向上のための取り組み(広報費、展示会出展費など)を支援する点が特徴です。
具体的には、「急速冷凍機で開発した新商品の冷凍ケーキの魅力を伝えるためのウェブサイト制作費用」や「地域のお土産物フェア、物産展に出展するためのブース設営費用や旅費」などが補助の対象となります。補助上限額は他の大規模補助金に比べて低いものの、比較的申請手続きが簡素で、小規模な事業者様が新たな一歩を踏み出すための最初のステップとして活用しやすいメリットがあります。急速冷凍機導入後の「次の打ち手」として、新商品のプロモーションや販路拡大に重点を置きたい場合に、ぜひ検討いただきたい補助金です。
既存設備の更新で省エネも実現したいなら「省エネ補助金」

現在お使いの冷凍設備が古く、年々増加する電気代に頭を悩ませている事業者様が、設備更新を検討している場合には、「省エネルギー投資促進支援事業費補助金(省エネ補助金)」が最適な選択肢となります。この補助金は、既存設備をエネルギー効率の高い最新設備へ買い替えることで、省エネルギー化を促進することを目的としています。
特に、旧式の冷凍・冷蔵設備を使用している食品工場や飲食店が、最新の高効率な急速冷凍機に更新するケースが典型的な活用例です。この補助金の最大のポイントは「省エネルギー効果」であるため、導入を検討している急速冷凍機が、既存の設備と比較していかにエネルギー効率に優れているかを、具体的な数値で証明することが申請の必須要件となります。例えば、「最新のインバータ制御付き急速冷凍機に入れ替えることで、年間の電気代を〇〇円削減し、同時にCO2排出量も〇〇トン削減する」といった、環境配慮とコスト削減を両立する計画が特に高く評価されます。エネルギーコストの削減と設備投資負担の軽減を同時に実現したい事業者様にとって、非常に有力な選択肢となるでしょう。
補助金申請の基本フローと採択されるためのポイント

補助金の申請は、単に書類を提出するだけの作業ではなく、戦略的な準備が必要不可欠です。このセクションでは、補助金申請における一般的な流れを4つのステップに分けて解説し、それぞれの段階で注意すべき点や、採択の可能性を高めるための重要なポイントに触れていきます。このセクションを読むことで、申請プロセス全体のイメージを掴み、計画的に準備を進められるようになるでしょう。
STEP1:公募要領の確認と事業計画の策定
補助金申請の最初の、そして最も重要なステップは「公募要領の確認」と「事業計画の策定」です。まず、各補助金の公式サイトから最新の「公募要領」を必ずダウンロードし、目的、対象者、補助対象経費、審査項目、申請期間などの詳細を熟読するようにしてください。その上で、公募要領に示された審査項目を意識しながら、自社の事業計画を練り上げることが重要です。「なぜ急速冷凍機が必要なのか」「導入によってどのような課題が解決され、どのような成長が見込めるのか」を、具体的かつ客観的なデータ、例えば数値目標などを交えて記述することが、事業計画を評価してもらうためのポイントになります。
STEP2:必要書類の準備とGビズIDプライムの取得
事業計画が固まった後は、具体的な事務手続きに移ります。多くの補助金申請で電子申請が必須となっており、その際に必要となるのが「GビズIDプライムアカウント」です。このIDは申請から取得までに数週間かかる場合があるため、公募開始前から早めに手続きをしておくことをおすすめします。加えて、申請に必要な書類(履歴事項全部証明書、決算書、事業計画書など)をリストアップし、漏れなく準備することの重要性も忘れてはいけません。書類に不備があると、そもそも審査の土俵にすら上がれない可能性があるため、細心の注意を払うようにしてください。
STEP3:電子申請システムでの申請
GビズIDと必要書類が揃ったらいよいよ申請手続きです。各補助金が指定する「電子申請システム」(例えばJグランツなど)にログインし、画面の指示に従って必要情報を入力し、準備した書類をアップロードしていきます。申請の締切直前はアクセスが集中してシステムが不安定になる可能性があるため、時間に余裕を持って申請作業を行うことを強くおすすめします。入力内容に間違いがないか、複数人でダブルチェックするなどの工夫も、確実な申請のためには非常に有効です。
STEP4:採択発表・交付申請・事業開始
申請後の流れについても、特に注意すべき点があります。まず、採択が発表されたからといって、すぐに事業(急速冷凍機の発注など)を開始できるわけではないことを認識しておいてください。採択後には「交付申請」という手続きがあり、その申請が承認され「交付決定通知」を受け取った後でなければ、契約や発注はできないというルールがあります。この順番を間違えると補助金の対象外となってしまうため、最も注意すべき点です。交付決定から事業完了、実績報告、そして最終的に補助金が振り込まれるまでの一連の流れを理解し、補助金が後払いであることを正しく把握した上で、資金計画を立てるようにしてください。
【重要】採択率を上げる事業計画書の書き方
補助金申請の成否を分ける最も重要な要素は、事業計画書です。採択率を上げるためには、以下のポイントを意識して作成しましょう。
まず、ストーリーの一貫性が非常に重要です。自社の現状の課題(As-Is)、急速冷凍機導入による解決策、そして導入後の未来像(To-Be)まで、一貫した説得力のあるストーリーを描くことが求められます。「なぜ他の設備ではなく急速冷凍機でなければならないのか」を明確に記述し、説得力を持たせてください。
次に、公募要領に記載されている「審査項目」や「加点項目」(賃上げ、地域経済への貢献、DX推進など)を網羅することも大切です。自社の計画がこれらの項目にどう貢献するかを具体的にアピールする方法を盛り込みましょう。
また、客観性と具体性も欠かせません。「売上が向上する」「品質が良くなる」といった曖昧な表現ではなく、「導入後3年で売上〇%増」「ドリップ率〇%低減により廃棄ロスを年間〇万円削減」のように、具体的な数値目標や客観的根拠(市場データ、試験結果など)を示すことが重要です。
最後に、補助金の目的との整合性を明確に記述しましょう。自社の計画が、その補助金が目指す政策目的(ものづくり補助金なら「生産性向上」、事業再構築補助金なら「新市場開拓」など)に合致していることをアピールすることで、審査員の共感を得やすくなります。
補助金申請の注意点|よくある不採択の理由
補助金申請で「失敗したくない」と考えるのは当然のことです。ここでは、補助金申請でよくある不採択の理由とその対策について解説します。
よくある不採択の理由の一つに、「目的の不一致」があります。事業計画の内容が、申請する補助金の目的と合っていない場合、採択は難しくなります。例えば、単なる設備更新なのに「ものづくり補助金」に申請するなどです。補助金の目的をしっかりと理解し、自社の計画がそれに合致しているかを事前に確認しましょう。
また、「計画の具体性・実現性の欠如」も不採択の大きな要因です。数値目標に根拠がなかったり、計画が非現実的であったりすると、審査員に納得してもらえません。市場調査データやこれまでの実績などを基に、具体的で実現可能な計画を立てることが重要です。
さらに、「書類の不備・形式ミス」も意外と多い失敗例です。申請要件を満たしていない、必要書類が不足している、GビズIDの取得が間に合わなかったなど、初歩的なミスで審査の対象外となってしまうことがあります。公募要領を熟読し、必要な書類を漏れなく準備し、期日には余裕をもって申請するようにしましょう。これらの失敗例を反面教師として、万全の準備を心がけてください。
補助金活用前に知っておきたい!急速冷凍機の基礎知識

補助金を活用して急速冷凍機の導入を検討されているなら、申請準備と並行して、実際に導入する急速冷凍機そのものへの理解を深めることが非常に重要です。自社の事業計画に最も適した機器を選定することは、事業の実現性を高めるだけでなく、補助金の審査においても説得力のある根拠となります。このセクションでは、急速冷凍機を導入することで得られるメリット、市場に存在する主要な種類とそれぞれの特徴、そして導入後の運用を見据えた価格相場とランニングコストといった、選定に不可欠な基礎知識を詳しく解説していきます。
急速冷凍機を導入するメリット

急速冷凍機を導入することで、食品事業者は「品質」「経営」「生産」という3つの側面で多大なメリットを享受できます。まず「品質の向上」では、従来の緩慢冷凍では避けられなかった食品の細胞破壊を最小限に抑えることが可能です。これにより、解凍時のドリップ流出を防ぎ、食材本来の食感、風味、そして色合いを高いレベルで維持できます。この高い品質は、顧客満足度の向上やブランド価値の確立に直結し、結果としてリピート率の増加や新規顧客獲得に繋がるでしょう。
次に「経営の効率化」という点では、急速冷凍機はフードロスの削減に大きく貢献します。旬の食材や豊漁時の水産物を新鮮なうちに加工・冷凍保存することで、廃棄ロスを大幅に減らせます。また、計画生産が可能になるため、繁忙期に集中していた人件費を平準化したり、長期保存によって安定した仕入れコストを維持したりすることも可能です。これらのコスト削減効果は、投資対効果(ROI)の観点からも大きなメリットとなります。
そして「生産と販売の拡大」においては、急速冷凍技術が新たなビジネスチャンスを創出します。これまで地理的な制約や時間的な制約で販売できなかったエリアへの販路拡大が容易になります。例えば、高品質な冷凍食品をECサイトで販売したり、海外へ輸出したりすることも可能です。さらに、新商品の開発や多様な製品ラインナップの展開が可能になり、事業領域を大きく広げることができます。
急速冷凍機の種類と特徴

業務用急速冷凍機には様々な凍結方式があり、それぞれに得意な食品や特徴があります。自社の製品に最適な方式を選ぶことが、導入効果を最大化する鍵となります。
主要な凍結方式の一つが「液体凍結」です。ブライン液と呼ばれる熱伝導率の高い液体に食材を浸して急速に凍結させる方式です。凍結速度が速く、食材の細胞損傷を抑え、解凍後の品質劣化を最小限に抑えられる点がメリットです。特に水産物や肉類など、個包装された食材の品質保持に優れています。
もう一つ代表的なのが「空気凍結(エアブラスト方式)」です。これは-35℃以下の強力な冷風を食品に吹き付けて凍結させる方式で、様々な形状や種類の食品に対応できる汎用性の高さが特徴です。液体凍結に比べて凍結速度はやや劣るものの、幅広い食材に適用できるため、多くの食品工場で採用されています。その他にも、食品をプレートで挟んで凍結させる「接触式(コンタクトフリーザー)」や、非常に低温の液体窒素ガスを使用する「液体窒素凍結」などがあり、それぞれ特定の用途で高い性能を発揮します。
急速冷凍機の価格相場とランニングコスト

急速冷凍機の導入を検討する上で、設備投資の意思決定に不可欠なのがコストに関する情報です。業務用急速冷凍機の価格は、その凍結能力(例えば「1時間に〇kg凍結可能か」という処理能力)や採用されている凍結方式によって大きく異なります。一般的には数百万円から数千万円と幅広い価格帯が存在し、例えば小型で汎用性の高いモデルであれば300万円前後から、大規模な処理能力を持つトンネルフリーザーやスパイラルフリーザーでは数千万円を超えるケースもあります。
導入後のランニングコストにおいて、大部分を占めるのは「電気代」です。凍結方式や機器の性能によって消費電力は異なりますが、最新の急速冷凍機は省エネ性能が向上しており、例えば小型の空気凍結タイプであれば1時間あたり数十円程度と、比較的安価に運用できるモデルも増えています。長期的に見れば、省エネ性能の高いモデルを選ぶことが、運用コストの削減に大きく貢献します。
多くの企業では、急速冷凍機を導入することで得られるメリット(品質向上による単価アップ、フードロス削減、人件費の平準化など)により、初期投資を数年で回収できているという事例も少なくありません。初期投資額だけでなく、長期的な視点でランニングコストやコストパフォーマンスを総合的に判断することが重要です。
急速冷凍機の活用事例
ここからは、急速冷凍機の導入によって実際にどのような課題が解決され、どのような成果が生まれたのかを、方式別に具体的な事例としてご紹介します。ご自身の状況と近い事例を見つけることで、導入後のイメージをより具体的に描いていただくことができます。
魚介・寿司の導入事例: “シャリがそのまま”で全国へ(通販・販路拡大)

寿司や刺身は、冷凍の難易度が高い代表格です。酢飯は冷凍で白くなり(白蝋化)やすく、ネタは解凍時のドリップが価値を左右します。福岡県久留米市の鮮魚店(魚政)様は、全国発送を目指す中でこの壁に直面していましたが、3Dフリーザー®で「酢飯の乾燥を抑え、ネタの瑞々しさを保つ」冷凍品質を実現。
ギフト需要の高い「デコ寿司」を、冷凍で全国へ届けられる体制を作りました。さらに、水揚げ量に左右される魚介を旬のときにまとめて加工・冷凍できるようになり、ロス削減と利益率改善、商品ラインナップ拡充にもつながっています。
米飯・惣菜の導入事例: 計画生産で「早朝労働」と「廃棄ロス」を同時に解消

米飯系(お弁当・寿司・海苔巻き)は、冷凍するとご飯がパサつきやすく、商品化が難しいアイテムです。
楽天市場で人気の「冷凍キンパ」を手掛けるアゴラキッチン様は、日持ちしないことによる廃棄ロスと、当日製造前提の早朝出勤の負担に悩んでいました。
3Dフリーザー®導入後は、冷凍ストックによって前日や日中の空き時間に製造→必要分を出荷という計画生産に切り替え。結果として、早朝労働の負担が下がり、廃棄も抑制。しかも、ご飯の白蝋化やパサつきの課題に対して、「もちもち感が残る」品質を実現し、評価(口コミ)にもつながっています。
麺類の導入事例: “茹でたて熱々”のまま冷凍して、生産効率と品質を両立

麺は乾燥や食感変化が起きやすく、「冷凍=味が落ちる」という先入観が強い分、品質差がそのまま差別化になります。老舗製麺所・山和製麺様は、「打ちたて・茹でたて品質を遠方へ届けたい」という狙いで導入。従来の冷凍では乾燥や工程負担が課題でした。
3Dフリーザー®導入後は、予冷の手間なく“茹で上げ直後の熱々”の状態で投入でき、約40分で芯まで冷凍。ラインを止めずに回せるため、生産効率が上がりつつ、解凍後もコシ・瑞々しさを維持し、全国への販路拡大につながっています。
ホテル・外販の導入事例: “ホテルの味”をそのまま通販し、新規事業の柱に

千草ホテル様はコロナ禍を機に外販(冷凍惣菜・スイーツ)を強化する中で、解凍時の味・食感劣化や、大量調理と長期保存の両立が課題でした。3Dフリーザー®のテストで「冷凍前後で劣化に気づかないレベル」を確認できたことが決め手となり、導入後は通販で全国へ、さらに食品ロス削減と計画生産にもつながっています。
創業110年の老舗・千草ホテルが急速冷凍機「3Dフリーザー」を導入。ホテルの繊細な料理を品質そのままに全国通販へ!コロナ禍のピンチをチャンスに変え、商圏拡大と食品ロス削減に成功した導入事例をご紹介します。
補助金申請や急速冷凍機選びに迷ったら専門家へ相談

補助金の申請手続きは非常に複雑で、数多くの要件や提出書類が求められます。また、自社の事業内容や目的に最適な急速冷凍機を選ぶことも、容易なことではありません。このような状況で、全てを自社だけで抱え込むと、時間や労力がかかり、結果として採択の可能性を下げてしまう恐れもあります。
そこで有効な選択肢となるのが、専門家によるサポートの活用です。外部の知見や経験を借りることで、申請プロセスをスムーズに進められるだけでなく、より説得力のある事業計画を策定でき、採択率を高めることにもつながります。最適な設備投資を実現するためにも、専門家への相談をぜひ検討してみてください。
このセクションでは、補助金申請の専門家と、急速冷凍機メーカーのそれぞれが提供するサポートについて詳しく解説していきます。
補助金申請サポートの専門家(中小企業診断士など)
中小企業診断士や行政書士といった補助金申請の専門家は、複雑な補助金制度の理解を深め、採択の可能性を高める上で非常に頼りになる存在です。これらの専門家は、最新の補助金情報に精通しており、公募要領の隅々まで読み解き、自社の事業に合致する補助金を見つける手助けをしてくれます。さらに、審査員に評価される事業計画書の作成ノウハウも豊富に持っているため、「なぜ急速冷凍機が必要なのか」「導入によってどのような課題が解決され、どのような成長が見込めるのか」といったストーリーを、具体的かつ説得力のある形で言語化するサポートを受けられます。
また、煩雑な申請手続きや必要書類の準備、電子申請システムの入力代行まで任せられるケースも多く、事業者は本業に集中できるという大きなメリットがあります。相談先の探し方としては、商工会議所からの紹介、金融機関からの紹介、またはインターネットでの検索などが一般的です。費用形態は着手金+成功報酬制が多いため、まずは無料相談などを活用して、複数の専門家から話を聞き、信頼できるパートナーを見つけることが大切です。
急速冷凍機メーカーによる導入・申請サポート
急速冷凍機のメーカーや販売代理店も、単に製品を販売するだけでなく、導入支援の一環として補助金申請のサポートを提供している場合があります。メーカーに相談する最大のメリットは、自社製品の特性や凍結技術を熟知している点です。そのため、「導入を検討している急速冷凍機が、どの補助金のどの要件に最も合致させやすいか」という観点から、具体的なアドバイスを受けられます。
例えば、省エネ性能が高い機種であれば「省エネ補助金」との相性が良いなど、製品知識に基づいた最適な補助金活用方法を提案してくれるでしょう。また、事業計画書作成に必要な技術的データや導入効果の試算など、専門的な情報の提供を受けられることも強みです。場合によっては、提携している中小企業診断士などの専門家を紹介してくれることもあり、機種選定から申請まで一貫したサポートを受けられる可能性もあります。まずは気になるメーカーに問い合わせて、どのようなサポートが受けられるのかを確認してみることをお勧めします。
まとめ
本記事では、急速冷凍機の導入を検討されている食品事業者の方々へ、その導入を後押しする補助金制度について詳しく解説しました。急速冷凍機は、単に食材を凍らせるだけの設備ではありません。解凍時のドリップ流出を抑え、食材本来の品質を維持することで、お客様に「できたて」に近い状態の商品を提供できるようになります。これにより、製品の付加価値を高め、顧客満足度の向上、ひいてはブランドイメージの強化にも繋がります。
また、計画生産を可能にすることでフードロスを削減し、人件費の最適化にも貢献するなど、経営面でも大きなメリットをもたらします。さらに、商品の長期保存が可能になることで、新たな販路(EC販売や海外輸出など)の開拓や、これまで季節要因で諦めていた新商品開発の可能性も大きく広がります。急速冷凍機は、まさに食品事業者の品質向上、生産性向上、そして販路拡大を実現するための強力なツールといえるでしょう。
こうした急速冷凍機の導入は、初期投資という大きなハードルが伴いますが、「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」といった国や自治体が提供する補助金を活用することで、その負担を大幅に軽減できます。成功の鍵は、自社の「事業規模」「導入目的」「投資計画」に最も適した補助金を見極め、審査員の心に響く説得力のある事業計画書を策定することにあります。
貴社の課題に合わせた最適な急速冷凍ソリューションをご提案します
この記事を通じて急速冷凍機や補助金に興味を持たれたものの、「どの冷凍機が自社の製品に最適なのか」「どの補助金が良いのか」「具体的な投資対効果はどれくらいになるのか」「まずは自社製品でテストをしてみたい」といった疑問やご要望をお持ちではありませんか?貴社の製品や生産規模、目指すビジネスモデルに合わせて、最適な機種の選定から導入後の運用サポートまで、一貫して支援させていただきます。
まずはお客様の現状を詳しくお伺いし、具体的なシミュレーションや、凍結テストの機会をご提供することも可能です。カタログだけでは分からない、実際の品質変化や導入効果を、ぜひご自身の目でお確かめください。急速冷凍機の導入は、貴社の事業を次のステージへと押し上げる強力な一手となるでしょう。まずはお気軽にお問い合わせフォームまたはお電話にてご連絡ください。貴社からのお問い合わせを心よりお待ちしております。
