野菜・果物の急速冷凍ガイド|色・食感・栄養を保つテクニック

「旬の野菜をたくさん収穫したが、使いきれずに傷んでしまった」 「冷凍したブロッコリーを解凍したら、食感がフニャフニャで美味しくない」 「フルーツを冷凍したら、色が悪くなってしまった」

農家の方や、食品加工、飲食店経営において、野菜や果物の保存に頭を悩ませた経験は誰にでもあるでしょう。野菜や果物は水分が多く、非常にデリケートなため、一般的な方法で冷凍すると、食感や色、風味が大きく損なわれがちです。

しかし、それは正しい冷凍方法を知らないからかもしれません。「急速冷凍」と、野菜・果物特有の「一手間」を加えることで、旬の恵みを、驚くほどの品質で長期間保存することが可能になります。

この記事では、業務用急速冷凍機の専門メーカーであるKOGASUNが、野菜・果物の色・食感・栄養を保つためのプロの冷凍テクニックを、種類別に分かりやすく解説します。この技術は、フードロス削減に大きく貢献するだけでなく、新たな商品開発の可能性も広げます。

なぜ野菜・果物の冷凍は難しいのか?鍵は「酵素」にあり

肉や魚と同様、野菜や果物も緩慢冷凍すると、大きな氷の結晶が細胞壁を破壊し、解凍後の食感を損ないます。しかし、野菜や果物には、もう一つ厄介な問題があります。それが「酵素」の働きです。

収穫後も、野菜や果物に含まれる酵素は活動を続けています。この酵素が、冷凍中であってもゆっくりと働き、色、風味、食感、栄養素を分解・劣化させてしまうのです。冷凍した野菜が変色したり、独特の冷凍臭がしたりするのは、この酵素の働きが主な原因です。

この酵素の働きを止める(失活させる)ために不可欠な工程が「ブランチング処理」です。

美味しさの鍵を握る「ブランチング処理」とは?

ブランチングとは、冷凍前に野菜を短時間だけ加熱(茹でる・蒸す)し、その後すぐに急速冷却するという一連の作業を指します。これにより、品質を劣化させる酵素の働きを止めることができるのです。

【ブランチングの主な効果】

•酵素の失活: 変色、異臭、栄養素の分解を防ぐ。

•色の保持: クロロフィル(緑色の色素)などが安定し、鮮やかな色を保つ。

•組織の軟化: 硬い野菜の組織を少しだけ軟らかくし、凍結によるダメージを軽減する。

•殺菌効果: 表面の微生物を殺菌し、衛生状態を向上させる。

【野菜別】急速冷凍テクニックとブランチング時間

ここでは、代表的な野菜の冷凍方法と、ブランチング時間の目安を紹介します。

葉物野菜(ほうれん草、小松菜など)

•下処理: よく洗い、根元を切り落とします。

•ブランチング: 沸騰したお湯で30秒〜1分程度茹で、すぐに冷水に取ります。茹ですぎると食感がなくなるので注意。

•冷凍: 冷めたら、手で水気をしっかりと絞ります。使いやすい長さにカットし、1回分ずつ小分けにしてラップで包み、急速冷凍します。

果菜類(ブロッコリー、カリフラワー、かぼちゃなど)

•ブロッコリー・カリフラワー: 小房に分け、硬めに茹でます(1分〜1分半)。冷水で冷やし、水気をしっかり切ってからIQF(個別急速冷凍)し、袋にまとめます。

•かぼちゃ: 種とワタを取り、使いやすい大きさにカットします。生のまま、または軽く加熱(レンジで1〜2分)してから急速冷凍します。マッシュにしてから冷凍するのもおすすめです。

•トマト: ヘタを取り、丸ごと冷凍します。凍ったまま水に浸けると皮が簡単に剥けるので、ソースや煮込み料理に便利です。カットしてから冷凍する場合は、種の部分を取り除くと水っぽくなりにくくなります。

根菜類(にんじん、大根、じゃがいもなど)

•にんじん・大根: 皮を剥き、いちょう切りや短冊切りなど、用途に合わせてカットします。硬めに下茹で(1〜2分)し、冷ましてから水気を切って急速冷凍します。

•じゃがいも・さつまいも: 皮を剥いてカットし、水にさらしてアクを抜きます。硬めに茹でるか、蒸してから完全に冷まし、水気を拭き取って冷凍します。マッシュポテトにしてから冷凍するのも良い方法です。

生で冷凍できる野菜

ピーマン、パプリカ、きのこ類、玉ねぎ(みじん切り)、香味野菜(ネギ、ショウガ、ニンニク)などは、ブランチングなしで生のまま冷凍できます。カットして、水気をよく拭き取ってから急速冷凍しましょう。

【画像挿入箇所2】

•画像: 代表的な野菜のブランチング時間の目安をまとめた一覧表。

•ALT属性: ほうれん草、ブロッコリー、にんじんなど、代表的な野菜のブランチング時間の目安をまとめた表。

野菜の種類 カット方法 ブランチング時間の目安
ほうれん草 ざく切り 30秒〜1分
ブロッコリー 小房 1分〜1分半
にんじん いちょう切り 1分〜2分
じゃがいも 乱切り 2分〜3分
とうもろこし 2分〜3分

【果物別】急速冷凍テクニック

果物は、野菜と違って基本的にブランチングは不要です。しかし、変色しやすい果物には、それを防ぐための下処理が重要になります。

ベリー類(いちご、ブルーベリー、ラズベリーなど)

•ポイント: 形が崩れやすくデリケートなので、優しく扱います。

•方法: ヘタを取り、傷つけないように優しく洗います。キッチンペーパーで水分を完全に拭き取り、重ならないように金属バットに並べてIQF(個別急速冷凍)します。凍結後、ジッパー付き保存袋にまとめて保存します。スムージーやソース、菓子のトッピングに最適です。

変色しやすい果物(りんご、バナナ、桃など)

•ポイント: カットすると、酵素の働きで切り口がすぐに茶色く変色してしまいます。

•方法: 皮を剥いてカットした後、レモン水や塩水に短時間浸けるか、薄い砂糖水(シロップ)でコーティングすることで変色を防ぎます。その後、水分をよく拭き取ってから急速冷凍します。

その他の果物

•柑橘類(みかん、オレンジなど): 薄皮を剥いて一房ずつに分けるか、輪切りにしてIQF冷凍します。皮は、よく洗ってからすりおろし、「ゼスト」として冷凍保存すると香りが長持ちします。

•ぶどう・キウイ: 皮を剥いて(ぶどうは皮ごとでも可)、そのままIQF冷凍します。半解凍の状態でシャーベットのように食べると美味しいです。

冷凍野菜・果物の使い方

•冷凍野菜: 炒め物や煮物、スープなど、加熱調理に使う場合は、凍ったまま調理するのが基本です。解凍すると水分が出て食感が悪くなるためです。

•冷凍果物: スムージーやジャム作りには凍ったまま使います。ケーキの材料にする場合は、半解凍程度で使うのが良いでしょう。そのまま食べる場合は、半解凍のシャーベット状が最も美味しくいただけます。

まとめ

野菜や果物の冷凍は、少しの手間をかけるだけで、その品質を劇的に向上させることができます。旬の味を一年中楽しめるだけでなく、調理の時短やフードロスの削減にも繋がり、ビジネスと環境の両方に貢献します。

今回のポイントを振り返りましょう。

•野菜の冷凍は「ブランチング」が必須: 酵素の働きを止め、色・食感・栄養を保つ。

•果物の冷凍は「変色防止」が鍵: レモン水やシロップを活用する。

•下処理が品質を左右する: 水分をしっかり拭き取り、用途に合わせてカットする。

•IQF(個別急速冷凍)が便利: 使う分だけ取り出せるように、バラバラで凍らせる。

KOGASUNの3Dフリーザー®は、高湿度冷気で食品を包み込むように凍結するため、乾燥に弱い野菜や果物の冷凍に最適です。食材のみずみずしさを保ったまま、高品質な冷凍を実現します。

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