「売れ残ったパンの廃棄に、毎日胸を痛めている」 「ケーキの作り置きができず、クリスマスなどの繁忙期は地獄のようだ」 「冷凍したパンを解凍したら、パサパサで美味しくなかった」
ベーカリーやパティスリーの経営者、職人の皆様にとって、パンや洋菓子という繊細な商品の品質維持と生産計画は、永遠のテーマではないでしょうか。
焼きたての香ばしいパン、作りたての滑らかな口溶けのケーキ。その最高の状態を、お客様にいつでも提供したい。しかし、日々の需要予測は難しく、フードロスや機会損失は避けられない問題です。このジレンマを解決する鍵が、「急速冷凍」技術にあります。
この記事では、業務用急速冷凍機の専門メーカーであるKOGASUNが、パンや菓子類の焼きたて・作りたての品質を再現するための、プロ向けの急速冷凍・解凍テクニックを徹底解説します。もう、廃棄ロスや過酷な労働環境に悩む必要はありません。
Contents
なぜパンや菓子類の冷凍は難しいのか?
パンや菓子類の品質を損なう主な原因は「水分の移動」と「デンプンの劣化」です。
1.水分の移動(乾燥): パンやスポンジ生地は、多くの水分を含んだスポンジのような構造をしています。冷凍すると、この水分が氷の結晶となり、緩慢冷凍ではその過程で水分が蒸発(昇華)し、乾燥してパサパサになってしまいます。
2.デンプンの劣化(老化): パンの主成分であるデンプンは、0℃〜-7℃の温度帯で最も劣化(老化)しやすい性質を持っています。この温度帯をゆっくり通過する家庭用冷凍庫などでの保存は、パンが硬くなり、風味が落ちる原因となります。
急速冷凍は、この「デンプンの劣化温度帯」を素早く通過し、さらに食品からの水分蒸発を最小限に抑えることで、焼きたて・作りたての食感と風味を閉じ込めることができるのです。
特に、KOGASUNの3Dフリーザー®は、湿度を保った冷気で包み込むように凍結するため、パンやスポンジ生地の乾燥を極限まで防ぎ、他のどの方式よりも高品質な冷凍を実現します。

【パンの種類別】急速冷凍テクニック
ハード系パン(バゲット、カンパーニュなど)
•ポイント: 焼きたてのクリスピーなクラスト(皮)と、もっちりしたクラム(中身)の食感をいかに再現するかが鍵です。
•冷凍方法: 完全に冷めてから冷凍するのが基本です。熱が残っていると、蒸気がこもり、クラストの食感が損なわれます。1本丸ごと、またはスライスして1食分ずつラップでぴったりと包み、急速冷凍します。
•解凍・リベイク: 自然解凍後、霧吹きで軽く水を吹きかけ、200℃程度のオーブンで3〜5分リベイク(再焼成)すると、焼きたての食感と香りが蘇ります。
ソフト系パン(食パン、ロールパンなど)
•ポイント: ふんわり、しっとりとした食感を保つことが最重要です。
•冷凍方法: 完全に冷めてから、スライスまたは1個ずつラップで包み、ジッパー付き保存袋に入れて急速冷凍します。乾燥を防ぐため、二重に包装するのがおすすめです。
•解凍: 常温で自然解凍するのが基本です。急ぐ場合は、電子レンジの解凍モードを短時間使用しても良いですが、加熱しすぎに注意が必要です。解凍後、トースターで軽く焼くとより美味しくいただけます。
菓子パン・惣菜パン
•ポイント: 上に乗っているクリームや具材が冷凍に適しているかを確認する必要があります。
•冷凍方法: クリームやマヨネーズ、生の野菜などは冷凍に不向きな場合があります。パン生地だけを焼いて冷凍しておく「ベイクオフ」方式(後述)が有効です。完成品を冷凍する場合は、1個ずつ丁寧にラップし、潰れないように硬い容器に入れて急速冷凍します。
•解凍: 常温で自然解凍します。惣菜パンは、解凍後にオーブントースターで温めると美味しくいただけます。
【洋菓子の種類別】急速冷凍テクニック
スポンジ生地・ジェノワーズ
•ポイント: デコレーション前のスポンジ生地を高品質で冷凍できれば、生産計画が劇的に楽になります。
•冷凍方法: 焼き上がったスポンジを完全に冷まします。乾燥を防ぐため、シロップを打ってから(アンビベ)、ラップで隙間なく包み、急速冷凍します。3Dフリーザー®なら、シロップなしでも驚くほどしっとりした状態を保てます。
•解凍: 冷蔵庫でゆっくり解凍します。半解凍の状態でカットすると、崩れずにきれいに切ることができます。
ムース・ババロア
•ポイント: 滑らかな口溶けを再現することが重要です。ゼラチンの種類や配合によっては、解凍後に離水することがあるため、事前のテストが不可欠です。
•冷凍方法: 型に入れたまま、またはカットしてから急速冷凍します。表面の乾燥を防ぐため、ナパージュ(艶出し)を塗ってから冷凍すると効果的です。潰れないように、しっかりとした箱に入れて保存します。
•解凍: 冷蔵庫でゆっくり解凍します。常温解凍は、結露で表面が濡れたり、菌が繁殖しやすくなるため避けてください。
チーズケーキ・ガトーショコラ
•ポイント: 濃厚でクリーミーな食感を保ちます。脂肪分が多いケーキは、比較的冷凍耐性が高いです。
•冷凍方法: 完全に冷ましてから、カットして1ピースずつラップで包み、急速冷凍します。
•解凍: 冷蔵庫でゆっくり解凍します。半解凍の状態で食べると、アイスケーキのような食感を楽しめ、新たな商品提案にも繋がります。
シュークリーム・タルト
•ポイント: シュー生地やタルト生地のサクサク感を保つことが最大の課題です。クリームの水分が生地に移りやすいため、工夫が必要です。
•冷凍方法: 最も良い方法は、生地だけを焼いて冷凍しておき、注文を受けてからクリームを詰めることです。完成品を冷凍する場合は、カスタードクリームにコーンスターチを多めに配合するなど、耐凍性のあるクリームを使用します。
•解凍: 冷蔵庫で解凍しますが、生地の食感はある程度損なわれることを前提とする必要があります。
ベーカリー・パティスリーの経営を変える「ベイクオフシステム」
ベイクオフシステムとは、セントラルキッチンなどで生地の製造から成形、冷凍までを行い、各店舗では最終的な焼成(ベイク)だけを行う方式です。
【ベイクオフシステムのメリット】
•店舗作業の簡略化: 各店舗に専門のパン職人を置く必要がなくなり、パート・アルバイトでも運営が可能に。人手不足の解消と人件費削減に繋がります。
•品質の均一化: 全店舗で同じ生地を使うため、品質が安定します。
•フードロスの削減: 売れ行きを見ながら必要な分だけ焼成するため、廃棄ロスを最小限に抑えられます。
このベイクオフシステムの心臓部となるのが、高品質な冷凍生地を作るための急速冷凍機です。生地に含まれる酵母(イースト)を生かしたまま凍結させる高度な技術が求められます。
まとめ
急速冷凍技術は、パンや菓子類の廃棄ロスを削減するだけでなく、計画生産を可能にし、従業員の労働環境を改善し、さらには新たなビジネスチャンス(通販、ベイクオフ展開など)を生み出す、経営の強力な武器です。
今回のポイントをまとめます。
•パン・菓子の冷凍は「水分」と「デンプン」の管理が鍵: 急速冷凍で劣化を防ぐ。
•種類別の最適な冷凍・解凍法: ハード系、ソフト系、ケーキ類など、それぞれの特性に合わせた方法を実践する。
•乾燥対策が最重要: 3Dフリーザー®のような高湿度タイプの冷凍機が特に有効。
•ベイクオフシステムへの応用: 急速冷凍を活用し、経営全体を効率化する。
「うちの店のスペシャリテも、冷凍で品質を保てるだろうか?」
その答えは、実際に試してみるのが一番です。KOGASUNでは、パン生地、ケーキ、焼き菓子など、お客様の大切な商品での**無料冷凍テスト**を承っております。焼きたて・作りたての感動を、冷凍でお客様に届ける。その可能性を、ぜひご自身の目でお確かめください。
