「セントラルキッチンで調理した料理を、どうすれば各店舗で同じ味で再現できるだろうか?」 「スーパーの惣菜コーナーで、夕方の廃棄ロスをなんとか減らせないか?」 「飲食店のアイドルタイムに仕込みを集中させ、ピーク時の負担を軽減したい」
セントラルキッチン、惣菜店、飲食店など、調理済み食品を扱う現場では、「品質の均一化」「フードロス削減」「生産性の向上」という3つの課題が常に付きまといます。
これらの課題を解決する切り札として、今まさに注目されているのが「急速冷凍」の活用です。作りたての惣菜や調理済み食品を急速冷凍することで、味と品質を高いレベルで維持したまま、計画的な生産と長期保存が可能になります。
この記事では、業務用急速冷凍機の専門メーカーであるKOGASUNが、カレーや唐揚げ、煮物といった日常的な惣菜を、作りたての美味しさそのままに冷凍・解凍するためのプロの技術を、具体的な活用事例と共に解説します。
Contents
なぜ惣菜・調理済み食品の冷凍は難しいのか?
調理済みの料理は、生の食材とは異なる冷凍の難しさがあります。
1.水分と油分の分離: カレーやシチューなどの液体を含む料理は、解凍時に水分と油分が分離し、ザラザラとした食感になることがあります。
2.食感の変化: 揚げ物は衣のサクサク感が失われ、煮物は野菜の食感がフニャフニャになりがちです。特に、じゃがいもや豆腐、こんにゃくなどは冷凍によって食感が大きく変わってしまいます。
3.風味の劣化: 調理後の料理は、冷凍中に風味が変化したり、他の食品の匂いが移ったりしやすい傾向があります。
これらの課題は、緩慢冷凍では解決が困難です。しかし、急速冷凍と調理・包装の工夫を組み合わせることで、作りたての品質を再現することが可能になります。

【惣菜別】急速冷凍テクニック
煮込み料理(カレー、シチュー、肉じゃがなど)
•ポイント: 具材の食感を残し、ソースの分離を防ぐことが重要です。
•調理のコツ: じゃがいも、人参などの根菜類は、煮込みすぎず、少し硬めに仕上げるのがコツです。じゃがいもは、冷凍耐性のある品種を選ぶか、一度マッシュしてから加えるなどの工夫で食感の劣化を防げます。
•冷凍方法: 粗熱をしっかり取った後、1食分ずつパック(真空包装が理想)します。金属製のバットに寝かせて置くと、平たく、速く凍結できます。
揚げ物(唐揚げ、とんかつ、コロッケなど)
•ポイント: 解凍・再加熱後も、衣のサクサク感をいかに再現するかが鍵です。
•調理のコツ: 「二度揚げ」を前提とした調理法がおすすめです。一度目は低温で中まで火を通し、二度目は高温で表面をカリッと揚げる、その「一度揚げ」の段階で急速冷凍します。
•冷凍方法: 揚げた後、油をよく切り、粗熱を取ります。食材同士がくっつかないようにバットに並べてIQF(個別急速冷凍)し、凍結後に袋詰めします。
•再加熱: 凍ったまま、180℃程度の油で短時間揚げるか、オーブンやリベイク機能のあるスチコンで再加熱すると、揚げたての食感が蘇ります。
焼き物(ハンバーグ、焼き魚など)
•ポイント: パサつきを防ぎ、ジューシーさを保ちます。
•調理のコツ: 完全に火を通し切らず、8割程度の加熱で止めておくのがコツです。再加熱時に火が通りすぎるのを防ぎます。
•冷凍方法: 粗熱を取り、1つずつラップで包むか真空パックします。ハンバーグとソースは、別々に冷凍した方が品質を保ちやすいです。
和惣菜(きんぴら、ひじき煮など)
•ポイント: 野菜のシャキシャキとした食感を残すこと、そして汁気をコントロールすることが重要です。
•調理のコツ: 炒め時間や煮込み時間を通常より短くし、歯ごたえが残るように仕上げます。また、冷凍すると味が薄く感じられることがあるため、少し濃いめの味付けにするのが一般的です。
•冷凍方法: 粗熱を取り、汁気をよく切ってから小分けにしてパックします。
品質を保つための3つのポイント
1.急速冷却で菌の増殖を防ぐ: 調理後の料理は、細菌が最も繁殖しやすい温度帯(10℃〜60℃)に長く置かれるほど、品質が劣化し、食中毒のリスクも高まります。調理後は、ブラストチラーや粗熱取り機を使って速やかに冷却し、すぐに急速冷凍にかけることが衛生管理上も極めて重要です。
2.適切な容器選びと包装: 空気に触れると酸化が進み、風味が劣化します。1食分ずつ小分けにし、真空包装するか、酸素バリア性の高い袋や容器に入れて密封するのが理想です。
3.冷凍に不向きな食材を避ける: こんにゃく、豆腐、生野菜(レタスなど)は、冷凍すると食感が大きく変わってしまうため、惣菜の具材としては避けるか、調理法を工夫する必要があります。
活用事例:セントラルキッチンでの品質均一化と効率化
多店舗展開する惣菜チェーンC社は、各店舗の厨房で調理を行っていましたが、店舗による味のバラつきと、従業員の技術教育に多大なコストがかかるという課題を抱えていました。
そこで、製造拠点をセントラルキッチンに集約し、KOGASUNのトンネル式3Dフリーザー®を導入。各店舗で提供するほぼ全ての惣菜をセントラルキッチンで一括調理し、急速冷凍してストック。計画的に各店舗へ配送する体制を構築しました。
【導入効果】
•品質の標準化: どの店舗でも、熟練の調理師が作った「本店の味」を提供できるようになり、ブランドイメージと顧客満足度が向上。
•生産性の向上: 大量の調理を効率的に行えるようになり、スケールメリットによる原価低減も実現。
•店舗作業の効率化: 各店舗では、解凍・再加熱と盛り付けが主な作業となり、少人数でのオペレーションが可能に。従業員の負担が大幅に軽減された。
•新規事業への展開: 高品質な冷凍惣菜を、スーパーマーケットやECサイトで販売する新たな事業もスタートできた。
美味しく食べるための解凍・再加熱方法
•湯煎解凍: パックされた煮込み料理やソース類は、湯煎で解凍・加熱するのが最も簡単で、風味を損ないにくい方法です。
•スチコン(スチームコンベクションオーブン): 揚げ物や焼き物は、スチコンのリベイク(再加熱)モードを使うと、蒸気で潤いを与えながら、熱風で表面をカリッと仕上げることができ、作りたてに近い品質を再現できます。
•電子レンジ: 手軽ですが、加熱ムラが起きやすいのが難点です。ワット数を低めに設定し、時間を短く区切りながら、様子を見て加熱するのが失敗しないコツです。
まとめ
惣菜・調理済み食品への急速冷凍の活用は、もはや単なる長期保存の手段ではありません。それは、食品ビジネスの生産性を根底から変革し、品質を標準化し、新たな市場を切り拓くための経営戦略です。
今回のポイントをまとめます。
•惣菜の種類に合わせた調理・冷凍法: 煮込み、揚げ物、焼き物、それぞれの特性に合わせた工夫が必要。
•急速冷却が衛生と品質の鍵: 調理後は速やかに冷却し、細菌の繁殖を防ぐ。
•包装で空気を遮断: 真空包装などを活用し、酸化と乾燥を防ぐ。
•セントラルキッチンとの相性抜群: 品質均一化と生産効率化を同時に実現する。
KOGASUNでは、お客様が現在提供されている惣菜や、これから開発したいメニューが、急速冷凍によってどのような品質になるかを具体的にお試しいただける、**無料の冷凍テスト**を実施しています。
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