引用元:みなと新聞 2021年12月1日 掲載
山口県長門市で、陸上養殖トラフグの出荷が最盛期を迎えています。中心となるのは、同市の安藤建設と、同社が筆頭株主の長州ながと水産です。今期は合計で6万尾近い出荷を計画。約1年半の育成を経て、平均約1.2kg(体長約40cm)の丸みを帯びた個体を安定供給します。
出荷計画と育成のポイント
- 稚魚は毎年3cmほどの個体を約3万尾池入れ。
- 育成期間はおよそ18か月。成魚イケスで丁寧に仕上げます。
- 昨期の出荷実績は約2万4,000尾。歩留まりは約8割で、年々向上しています。
現場では餌の食べ方、泳ぎ方の違和感、体色の変化をこまめに観察します。担当者は「時間さえあれば魚の状態を見続ける」と語り、初期兆候の早期把握に努めています。
水質と外部要因への対策
養殖に使う海水は海から直接引き込みます。そこで、くみ上げポンプに設置したカメラで監視。さらに、時化の後は高台から海況を目視確認し、赤潮の有無などをいち早く把握します。これにより、養殖魚への影響を最小限に抑えます。
販売チャネルと品質保持
販売は楽天などのECに加え、湯本温泉のホテル・旅館など業務筋にも展開。刺身は冷蔵・冷凍で出荷し、鍋用(ちり)には3Dフリーザー®で急速冷凍して流通させます。鮮度保持と品質の均一化が可能になり、安定供給に寄与しています。
事業の背景
長州ながと水産は2014年に設立。出資は安藤建設のほか、花谷工業、元漁業者の河部氏、飲食・加工・販売を手がけるき楽、仲卸の大小早川商店など地元企業が中心です。
一方、安藤建設は約35年前から水産養殖に取り組んできました。長門市三隅下野波瀬の陸上養殖場から、例年3万尾以上のトラフグを出荷しています。
写真について
長門市青海島の養殖場では、成魚イケスを泳ぐトラフグが次々と網上げされます。写真は約1.2kgに育った個体の様子です。



