“3Dフリーザー”活用し冷凍フグに力

引用元:みなと新聞 2012年9月28日 掲載

福水協の委託加工も代行

【福岡】㈱ふくます水産(福岡市、稲益徹社長)はトラフグを主体としたフグの専門メーカー。トラフグ薄造りが人気だ。古賀産業㈱(下関市、古賀靖社長)の3Dフリーザーを活用し、顧客ニーズに合わせたオリジナル冷凍商品に力を注ぐ。

稲益重樹会長が1973年に稲益鮮魚店として創業、88年に納主体のふくます水産に組織変更した。以来、福岡市城南区七隈で商売を続けてきたが、稲益会長が副理事長を務める福岡水産物商業協同組合(福水協)が今年6月、福岡市鮮魚市場内に組合員である鮮魚小売商の委託加工を担う事業部(工場)立ち上げに伴い、同社が委託業務を代行。福水協の工場を借りる形で福岡市城内に生産機能と事務所を移転した。

福水協の的野則理事長は事業部設立を「組合員には高齢化、後継者不足で事業縮小や廃業を余儀なく荒れるケースがあり、これをくい止めるために委託加工の事業部を立ち上げた。組合員はぜひ活用していただきたい」と話す。委託加工を代行するふくます水産では鉢盛りやフィレーなど注文に応じた製品を作り上げ、組合員に供給している。

同社は主力の養殖トラフグを大分県佐伯市や長崎県松浦市鷹島などの生産者から直接手当てする他、福岡市鮮魚市場から仕入れる。周年フグ加工を行い、大手鮮魚専門店やスーパーの年末商戦に欠品を起さないようチルド以外に冷凍のワンフローズン製品にも注力。稲益会長は「15年前から冷凍フグを手掛け、今では取引先から品質の良さが評価。フグはいったん凍結をかけると余計な水分が飛び、身がしまり食感も良い」と話す。

3年前に3Dフリーザーを導入。製品全体をマイナス35度の3次元冷気で包み込むようくまなく冷却・冷凍、ドリップが出にくく表面乾燥をおこさないのが特徴。ふくます水産では冷凍フグ製品を“3Dふぐ”としてアピール。薄造りをはじめ鍋セットや皮、空揚げ、一夜干しなどをラインアップする。

現在、関東地方の卸売市場を中心に鮮魚専門店や量販店、外食筋に販売。商品を通じて顧客との信頼関係を構築する。稲益会長は「今年のフグの仕入れは順調。新工場を活用した組合の委託加工と合わせ、ヒラメやマハタ、タチウオ、カワハギ、アオリイカなど刺身商材を中心に多種の鮮魚加工を手掛ける弊社の強みを発揮し、小売店など顧客をバックアップしていく」と強調する。

 

トラフグ薄姿造り
技術者によるトラフグの1次加工作業
翔る九州の水産企業 ふくます水産

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