引用元:みなと新聞 2010年6月24日 掲載
従来「冷凍は不可能」とされてきた焼き抜きかまぼこ。
その課題である“す(空洞)”の発生を、AOT(エアオペレーションテクノロジーズ)の「3Dフリーザー」が解決しました。
冷凍比較試験の結果、一般的なエアブラストフリーザーとの間に明確な差が確認され、食品業界に新たな可能性を示しています。
焼き抜きかまぼこの「す」問題とは?
かまぼこを冷凍すると、内部にスポンジ状の“す”が発生し、弾力や食感が損なわれてしまいます。
このため、かまぼこ業界では「冷凍流通は不可能」という常識が長年定着していました。
その結果、出荷や販売に制約があり、ロス削減や輸出展開が難しいという課題がありました。
AOT「3Dフリーザー」による比較試験
AOTは、焼き抜きかまぼこ(山口県産・でんぷん含量1%以下)を使用し、
3Dフリーザーと一般的なエアブラストフリーザーで同条件(庫内温度−30℃)の冷凍比較を実施。
解凍後の品質を評価したところ、
- 3Dフリーザー: “す”が発生せず、チルド品に近い弾力を保持。
 - エアブラストフリーザー: “す”やドリップが顕著に発生。
 
これにより、「3D冷凍=均一・微細な結晶化で組織破壊を防ぐ」ことが実証されました。
冷凍化による業界へのメリット
冷凍が可能になれば、かまぼこ産業に以下のメリットが生まれます。
- ロス削減:長期保存・安定供給が可能
 - 物流効率化:チルド流通依存からの脱却
 - 海外展開:輸出時の品質保持が容易に
 
これまで高コストな超低温冷凍や糖分・でんぷん調整に頼っていた方法を、3Dフリーザーが技術的に代替可能にしました。
今後の展望
AOTは今後、公的研究機関と連携し、
- 冷凍かまぼこの追跡試験
 - 保管温度帯の最適化
 - 実用化技術の確立
 
などを進めていく方針です。
今回の実証は、「不可能を可能にする冷凍技術」として、
水産加工業界のサプライチェーンに大きな変革をもたらすと期待されています。
   


      
      
      
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   