引用元:みなと新聞 2010年5月10日 掲載
3次元冷気の効力とは?
非貫流熱交換方式「3Dフリーザー」が変える急速冷凍の常識
食品を冷凍する際に最も重要なのは、「細胞を壊さずに短時間で凍結すること」です。
エアオペレーションテクノロジーズ株式会社が開発した「3Dフリーザー」は、独自の非貫流熱交換方式(ACVCS)を採用し、庫内全体に3次元の湿潤冷気を循環させることで、これまで不可能とされていた食材の冷凍を可能にしました。
非貫流式凍結装置「3Dフリーザー」の仕組み
「3Dフリーザー」は冷却器前面でショートサイクルの熱交換を行い、ダクトを介さずに庫内で冷気を立体的に循環させるのが特徴です。
これにより、一般的なエアブラスト(AB)方式のように冷気を一方向から吹き付ける必要がなく、庫内全体に均一な温度と湿度を保ちながら冷却できます。
結果として、食材表面の乾燥や変色、内部の変性を防ぎ、細胞レベルでの鮮度保持を実現しています。
従来のエアブラスト方式(AB式)との違い
従来のエアブラスト方式(AB式)との違い
「3Dフリーザー」は、従来のエアブラスト(AB)方式とは根本的に異なる冷却構造を採用しています。
以下の表では、主要な性能項目を比較しています。
| 比較項目 | エアブラスト方式(AB式) | 3Dフリーザー(非貫流式) |
|---|---|---|
| 冷却方式 | 一方向の強制送風 | 3次元の乱流冷気循環 |
| 食材表面 | 乾燥・着霜が発生 | 湿潤冷気で保湿状態を維持 |
| 凍結時間 | 長くムラが出やすい | 短時間で均一凍結 |
| 細胞破壊 | 起こりやすい | 微細氷結晶で抑制 |
| ランニングコスト | 高い(電力負荷大) | 約30%削減可能 |
非貫流式の3Dフリーザーでは、庫内の湿度と温度を均一に保つことで、
食材の乾燥や結露を抑えながら効率的に冷却を行います。
その結果、品質保持・省エネ・メンテナンス性の全てにおいて優れたパフォーマンスを発揮します。
着霜を防ぐ湿潤冷気と省エネ性能
従来の冷凍機では、冷却コイルや庫内壁面に霜が付着し、冷却効率の低下や定期的な霜取りが課題でした。
「3Dフリーザー」では、湿度を含む冷気の貫流を遮断する設計により、着霜をほぼ完全に防止。
その結果、連続運転が可能となり、冷凍機の負荷を軽減して電力コストを30%以上削減できます。
凍結品質 ― うに・馬肉・和菓子も新鮮そのまま
この技術は特に、従来冷凍が難しかったデリケートな食材に効果を発揮します。
たとえば生うに、馬肉、ねり製品、大福もちなどは、解凍後もドリップが少なく、“作りたての食感”を再現できます。
冷却時間も3〜10%短縮でき、微細氷結晶化による細胞損傷の最小化を実現しています。



