引用元:水産新聞 2021年9月27日 掲載
玉冷 内外に拡販へ
高品質化、増産体制を整備
別海町尾岱沼の㈱丸尚富崎水産(富崎洋尚社長、電話0153.86.2933)は、前浜で水揚げされるホタテの加工で、玉冷の製造・販売を強化する。最新の冷凍技術「3D冷凍」のフリーザー(古賀産業㈱製)を1台導入(㈲ヤマウメ納入)。冷凍加工の高品質化と増産体制を整えた。国内や中国など海外市場への拡販に挑んでいく。
ホタテは主力商材で、野付を主体に標津を合わせて原貝ベースで千㌧余りを取り扱う。活貝は中国、韓国などに300~400㌧を輸出している。玉冷はネット通販やふるさと納税返礼品など個人向けだったが、国内外の需要増大に着目。活貝の反をを生かした輸出を主体に販売拡大に向け、冷凍機能の強化で設備投資に踏み切った。
3Dフリーザーの導入は別海町では初めて。町商工会の協力で、国の「ものづくり補助金」事業を活用。凍結能力1時間当たり50㌔を設備。7~8回の稼働で日産350~400㌔を見込む。
従来の冷凍庫はマイナス20度で凍結完了に一日を要していたが、3Dフリーザーはマイナス35度の急速凍結で作業効率に加え、凍結品質が向上。富崎社長は「前浜で揚がる良質なホタテをより良い状態で食べてもらいたい」とし、その基盤に「3D冷凍」は「冷解凍しても全然ドリップが出ない。食感が生とそん色ない」と説明する。
2006年に土産需要向けなどの水産品販売の商店で創業。その後加工場を取得し、前浜産の鮮魚・加工卸に業務を拡大、10年に法人化した。家業は漁業で兄が継いでいる。今後、刺身商材の製造なども視野に入れる。富崎社長は「3D冷凍の商材は海外でも人気が高いと聞く。国内外に発信し、生産者をはじめ、お世話になっている方々に恩返しができれば」と、前浜産の有効活用、付加価値向上に意欲を示す。
1時間の急速冷凍で50㌔の玉冷(上)を生産できる3Dフリーザー(下)
玉冷の冷解凍比較。ドリップが通常冷凍(右)は流出しているが、3D冷凍(左)は見られない