「3Dフリーザー」効力 品質向上で拡販へ

引用元:水産新聞 2012年2月10日 掲載

サンマ蒲焼き製造 新冷凍技術を導入

札幌市の総菜メーカー・㈱パイオニアジャパングループ(上田琢巳社長、電話011・879・8102)は、平成21年から浜中漁協の「日帰りさんま」で蒲焼を生産。本年産の加工から、凍結前の食感、風味などおいしさをそのまま再現できる新冷凍技術「3Dフリーザー」(古賀産業㈱製)を活用、食材の酸化や劣化を抑えて加熱調理できる加熱水蒸気加工と併せた品質向上で、販売拡大を目指す。

食感・風味の劣化なく凍結前のおいしさ再現

浜中漁協が自営工場で腹開きの半製品に加工し、同グループに供給する連携体制を確立。同グループでは、冷凍のまま高湿スチームとジェットオーブンの併用でタレの漬け込みと焼成を2回繰り返し、ふんわり焼き上げ、エアブラスト式の冷凍機で冷凍。大手量販店や催事向け、通販業者などの販路で、年間20~30万枚を販売している。

現在の商品も風味や身の柔らかさなどが末端からの評価を得ているが、年間100万枚の販売目標に向け、商品の拡充を検討。加熱水蒸気のオーブンで焼き上げ、新たに導入した「3Dフリーザー」で急速冷凍する製法で、三か抑制と高品質冷凍の新規格を打ち出し、道内外の業務筋を中心に新たな販路の開拓に乗り出す。

「3Dフリーザー」は、直線的に一方向から冷気を当てるエアブラスト式と異なり、冷却器に風を戻さずに熱交換する非貫流冷気システム(ACVCS)で生み出した高湿度冷気が食材を全方位から包み込んで全体を均一に冷却する。東京海洋大学との共同研究で3Dフリーザーの特性を実証している。

氷結晶が均等に生成されることで、冷解凍による食材へのダメージが抑えられ、上田社長は、「サンプルテストの結果、食感や風味の劣化、ドリップの流出がほとんどなく、解凍後も凍結前とそん色のない品質が実現できる」と、サンマ蒲焼の品質向上に確かな手ごたえを感じている。

実際、トウモロコシなど野菜の加工品ではすでに同様の工程で製造、通販業者や業務筋などに販売しており、「食感、見た目、風味とも評価を得ている。『どのような方法で凍結しているのか』と驚きの問い合わせが来るほど」と話す。

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