引用元：みなと新聞 2024年5月10日 掲載
概要
島根県浜田市の浜田あけぼの水産は、子会社「あけぼの丸FACTORY」でノドグロの加工ラインを刷新しました。まず、真空包装機（TOSEI）と3Dフリーザー®を組み合わせ、解凍後も鮮魚に近い色と食味をねらう体制を構築。次に、冷風乾燥機（GSK テイストモディファイア®）を活用し、炙りスライスやだしパックなどの新商品開発を加速します。これにより、干物中心のラインアップに常温・レトルト領域が加わります。
背景：生産～販売の一気通貫と6次化
浜田あけぼの水産は、浜田港・下関漁港での水揚げを基盤に、2018年に老舗干物メーカーのサエキを継承。2022年に「あけぼの丸FACTORY」へ改称し、網元×加工×販売の6次産業化を推進しています。市場環境が変化するなか、まずはレトルト・常温商品へ領域を拡張。経産省の事業再構築補助も活用し、新設備と新商品を一気通貫で立ち上げました。
導入した主な設備
- 真空包装機：TOSEI（ダブルシール対応）
- 急速凍結：3Dフリーザー®（KOGASUN）
- 冷風乾燥：テイストモディファイア®（GSK）
狙いと効果
まず小袋を多数同時にシール。次に3Dフリーザー®で均一に冷風を当てて急速凍結します。工場長によれば、凍結後の色は鮮魚に近く、解凍後の食味も良好。試験ではマダイやヒラメでも差が小さかったとの評価です。
強化商品：ノドグロ生食用フィレー
- 工程：内臓・骨の除去 → 真空包装 → 急速凍結
- 特徴：色調キープと歩留まりの両立を志向
- 用途：旅館・飲食向けに継続供給（北陸など）
新開発：炙りスライス／だしパック／個食アナゴ
- ノドグロ炙りスライス：冷風乾燥で余分な水分を調整し、軽く炙ってスライス。まず香りが立ち、次に食感が締まります。
- ノドグロのだしパック：端材や骨を有効活用。しゃぶしゃぶのだしにも好適。
- アナゴ干物（個食パック）：70g（切り身2つ）。開封してすぐ食べられる手軽さが強み。
既存ブランド「一晩干（いちばんぼし）」：ワンフローズン製品
同ファクトリーの干物はワンフローズン。鮮魚から下処理後、1回の冷凍で出荷します。「一晩干」としてブランド化し、以下のラインアップを通年で展開中です。
- ノドグロ、ソウハチガレイ、子持ちササガレイ、ミズガレイ
- ケンサキイカ、カマス、レンコダイ
- 詰め合わせ：ノドグロ（赤）×クロムツ（黒）が好評
代表コメント
「生産から加工、販売まで。グループ体制で日本海の魚の価値をさらに高めたい」（室崎社長）
まとめ
まずノドグロのフィレーで高鮮度と安定供給を実現。次に炙りスライスやだしパック、個食干物で需要シーンを広げます。さらに、ワンフローズンの『一晩干』が通年供給を支えます。これにより、同ファクトリーは干物＋常温・レトルトの二軸で6次化を一段と前進させます。
