精肉店・食肉加工業が急速冷凍機を導入すべき理由|鮮度・歩留まり・販路拡大の課題を一挙解決


ドリップによる旨味の流出、変色による品質低下、スライスや加工時の歩留まり悪化、そして深刻化する人手不足——。精肉店や食肉加工業の経営者の皆様が日々直面している課題は、ますます深刻になっています。

特に、生鮮品である「肉」は、鮮度維持が最大の経営課題です。従来の冷凍方法では、解凍時のドリップ流出や食感の悪化が避けられず、「冷凍肉=品質が劣る」というイメージが根強く残っていました。

しかし今、その常識を覆すのが「急速冷凍技術」です。従来の冷凍とは比較にならないスピードで凍結させることにより、精肉の鮮度、旨味、色合いを「切りたて」の状態のまま長期保存することが可能になりました。

この記事では、3Dフリーザーをはじめとする業務用急速冷凍機が、精肉事業者の経営課題をどのように解決するのか、具体的なメリットを徹底解説します。

急速冷凍とは?従来の冷凍との決定的な違い

「最大氷結晶生成帯」を最速で通過する技術

急速冷凍の最大の特徴は、-1℃から-5℃の「最大氷結晶生成帯」を30分以内に通過する冷凍技術です。この温度帯を素早く通過することで、食品内部の水分が微細な氷の結晶として凍結し、細胞組織の破壊を最小限に抑えます。

従来の冷凍(緩慢冷凍)の問題点

  • 凍結に数時間かかるため、大きな氷の結晶が形成される
  • 氷の結晶が細胞膜を破壊してしまう
  • 解凍時にドリップ(旨味成分を含む赤い水分)が大量に流出
  • 肉がパサパサになり、風味が大幅に低下
  • 変色(黒ずみ)が発生し、商品価値が著しく低下

急速冷凍のメカニズム

  • マイナス30℃〜マイナス40℃の超低温で一気に凍結
  • 微細な氷結晶が均一に形成される
  • 細胞組織の損傷を最小限に抑制
  • 解凍後もドリップがほぼ出ず、「切りたて」の鮮やかな色とジューシーさを維持

この技術革新により、「冷凍肉は生肉に劣る」という常識が覆されたのです。

メリット①:ドリップを最小限にし、精肉の「鮮度・旨味」を保持

「切りたて」の色とジューシーさを再現する技術

精肉事業者にとって、急速冷凍機を導入する最大のメリットは、肉の品質(色・食感・旨味)を冷凍前とほぼ同じレベルで保持できることです。

品質保持が実現する理由

①ドリップの発生を最小限に

解凍時のドリップは、肉の旨味成分であるアミノ酸や栄養素そのものです。急速冷凍では細胞が傷つきにくいため、ドリップがほとんど発生せず、肉本来の旨味とジューシーさが保たれます。

②鮮やかな色(鮮紅色)の維持

ドリップの流出や酸化を防ぐことで、解凍後も生肉のような鮮やかな赤色を維持します。従来の冷凍品にありがちな黒ずみや変色が起こりにくく、店頭での見栄えが格段に向上します。

③食感の維持

和牛のサシ(霜降り)の滑らかな口溶け、赤身肉のしっかりとした歯ごたえなど、肉本来の食感が損なわれません。

具体例

和牛・高級部位: サシの脂の質を落とさず、旨味を完全に閉じ込める。

スライス肉(バラ・ロース): 解凍してもパサつかず、柔らかさとジューシーさを維持。

赤身肉(モモ・ヒレ): 鮮やかな色をキープし、ドリップによる旨味流出を防ぐ。

これにより、お客様に常に高品質な精肉を提供でき、「あのお店の肉はいつ買っても美味しい」という絶対的な信頼を獲得できます。

メリット②:廃棄ロス(端材・売れ残り)を削減し、歩留まりを最大化

年間数トンの廃棄を「価値ある在庫」に変える

精肉店では、売れ残りの生肉、スライスや整形時に出る端材、挽肉用の肉など、多くの廃棄ロス(フードロス)が発生しています。

急速冷凍による歩留まり改善効果

①売れ残り・過剰在庫のゼロ化

特売やセールの予測が外れても、残った生肉を即座に急速冷凍。品質を一切落とさず、「冷凍在庫」として翌日以降に販売、または加工用原料として活用できます。

    ②端材の有効活用

    ブロック肉からスライスやすき焼き用、ステーキ用に切り出す際に出る「端材」も、鮮度が良いうちに急速冷凍。高品質な挽肉や切り落とし、味付け肉の原料としてストックできます。

      ③歩留まりの劇的な改善

      従来は廃棄していた部分を商品化・原料化できるため、仕入れた枝肉・ブロック肉の歩留まりが最大化し、原価率の改善に直結します。

        コスト削減の例

        中規模精肉店(月商500万円):廃棄ロスを50%削減し、年間約150万円の利益改善 食肉加工場(月商2000万円):歩留まりが3%改善し、年間数百万円単位のコストカット
        食品ロス削減は、SDGsの観点からも企業イメージの向上に直結します。

        メリット③:加工作業を効率化し、人手不足と技術継承の課題を解決

        「バックヤード業務の平準化」で働き方改革を実現

        精肉業界でも人手不足は深刻です。特にスライスや筋切り、衣付けなどの加工作業は、熟練の技術が必要なうえ、夕方のピーク時に集中しがちです。

        人手不足解消のメカニズム

        ①加工作業の標準化・簡素化

        とんかつ用の衣付け、焼肉用の味付け、生姜焼き用のスライスなどを、手の空いた時間(閑散期)にまとめて仕込み、急速冷凍。

          ②パート・アルバイトの戦力化

          ピーク時は、冷凍ストックを解凍・陳列するだけで対応可能に。熟練スタッフでなくても高品質な商品を安定供給できます。

            ③バックヤードのピーク時負担を軽減

            夕方の混雑時や特売日でも、加工作業に追われることなく、接客に集中できます。スタッフの残業時間も大幅に削減されます。

              ④技術の保存・継承

              ベテランスタッフの技術(カット技術、味付け)を「冷凍商品」という形で保存・継承できます。

              導入効果の例

              精肉店A店:バックヤードスタッフを4名→3名に削減し、年間人件費300万円削減
              加工センターB店:加工作業の残業時間を月40時間→月10時間に削減し、スタッフ定着率が向上

                メリット④:付加価値商品(加工品・ギフト)の開発で差別化を実現

                「冷凍技術」が他店との圧倒的な競争力を生み出す

                急速冷凍機は、単なる保存技術ではなく、「新たな商品を開発する技術」です。他店にはない高付加価値商品で、差別化を実現します。

                商品開発の新しい可能性

                ①冷凍ミールキットの開発

                カット済みの肉と野菜、特製のタレをセットにした「冷凍生姜焼きキット」や「冷凍焼肉セット」を開発。利便性を求める顧客層に強くアピールできます。

                  ②高級ギフト商品の全国展開

                  高品質な和牛のステーキ肉や、すき焼きセットを急速冷凍。鮮度と見た目を損なわないため、贈答用の高級冷凍ギフトとしてECサイトなどで販売できます。

                    ③自家製加工品の商品化

                    自家製のハンバーグ、メンチカツ、ローストビーフなども、作りたての味をそのまま冷凍。店の「看板商品」として確立できます。

                      ④冷凍熟成(フローズンエイジング)

                      凍結状態で肉の熟成を進める「冷凍熟成」も可能です。新たな付加価値として、ブランド肉の開発にも繋がります。

                        差別化の例

                        地元のブランド豚を使った「冷凍ミールキット」を開発し、メディアで話題に。売上20%増
                        食肉卸F店:高級和牛の「冷凍ギフト」をECで展開し、新たな収益源として月商300万円を達成

                          メリット⑤:計画的な仕入れ・生産で在庫と原価を最適化

                          「価格変動リスク」を回避する戦略的ストック

                          牛肉・豚肉・鶏肉の仕入れ価格は、市場相場や季節によって大きく変動します。急速冷凍機があれば、価格が安い時期に大量仕入れし、品質を落とさずストックすることが可能になります。

                          原価管理の最適化手法

                          ①最安値での「まとめ仕入れ」

                          仕入れ価格が安い時期に、枝肉やブロック肉を大量に仕入れ。 即座に加工・急速冷凍し、通年で使用。 年間を通じて安定した原価率を維持できます。

                            ②価格高騰時期の影響を最小化

                            飼料高騰や品薄で市場価格が高騰しても、冷凍ストックから供給。 販売価格を頻繁に変更する必要がなく、顧客満足度を維持できます。

                              ③計画生産による在庫最適化

                              年末年始の贈答用、夏のBBQシーズンなど、需要のピークに合わせて事前に商品を計画生産。欠品による販売機会の損失を防ぎます。

                              原価削減の例

                              食肉卸G店:牛肉の仕入れを価格安定期に集中し、冷凍ストックを活用。年間原価率を2%改善
                              精肉チェーンH店:計画生産により、繁忙期の欠品ロスと閑散期の廃棄ロスを同時に削減し、利益率が向上

                                メリット⑥:EC・全国配送など販路拡大の基盤を構築

                                「地域の精肉店」から「全国の顧客」へ

                                従来の冷蔵配送や緩慢冷凍では、配送先が近隣地域に限られたり、遠方には品質が劣化したりする問題がありました。急速冷凍は、この「距離の壁」を取り払います。

                                販路拡大の具体策

                                ①ECサイト(ネット通販)での全国販売

                                「切りたて」品質を維持したまま全国に配送可能になるため、自社ECサイトの立ち上げや、大手通販モールへの出店が現実的になります。商圏が一気に全国へ広がります。

                                  ②飲食店への卸売り強化

                                  レストランやホテルに対し、カット済み・下処理済みの高品質な冷凍肉を安定供給。ドリップが出ないため、飲食店側でも使いやすく、新たな大口取引先の開拓に繋がります。

                                    ③ふるさと納税返礼品への展開

                                    地域のブランド肉を、高品質な冷凍返礼品として出品。全国の寄付者へアピールする絶好の機会となります。

                                    販路拡大の例

                                    精肉店I店:ECサイトを開設し、急速冷凍した和牛ギフトを販売。実店舗の売上に加え、ECで月商500万円を達成 食肉加工J店:飲食店向けのカット済み冷凍肉の供給を開始し、BtoB事業の売上が2倍に

                                    メリット⑦:衛生管理(HACCP対応)と食中毒リスク低減

                                    「安全」と「安心」を提供する冷凍技術

                                    精肉、特に挽肉や加工品は、食中毒リスクと常に隣り合わせです。急速冷凍は、HACCP対応にも寄与し、衛生管理レベルを劇的に向上させます。

                                    衛生管理の向上ポイント

                                    細菌の繁殖を停止

                                    O-157やカンピロバクターなどの食中毒菌は、低温で活動が鈍り、マイナス30℃以下で活動をほぼ停止します。加工後すぐに急速冷凍することで、菌の増殖リスクを最小限に抑えます。

                                    HACCP対応の簡素化

                                    「加工後、速やかに凍結」という工程は、HACCPの重要管理点(CCP)において非常に有効です。温度管理の徹底が容易になり、監査対応の負担も軽減されます。

                                    ドリップによる汚染防止

                                    ドリップが少ないため、解凍時に作業台や他の食材を汚染するリスク(交差汚染)を低減できます。

                                    安全性向上の効果

                                    食中毒リスクを従来比で大幅に低減 保健所の衛生監査での評価向上 顧客への「安全・安心」のアピールによる信頼獲得

                                      補助金・助成金の活用方法

                                      利用可能な主な支援制度

                                      ものづくり補助金
                                      項目内容
                                      補助上限額 通常枠:750万円〜2,500万円 (従業員数により異なる)
                                      グローバル枠:3,000万円
                                      補助率 中小企業:1/2
                                      小規模企業者:2/3
                                      中小企業新事業進出補助金
                                      項目内容
                                      補助額(従業員数別)
                                      • 20人以下:2,500万円 (賃上げ特例3,000万円)
                                      • 21〜50人:4,000万円 (賃上げ特例5,000万円)
                                      • 51〜100人:5,500万円 (賃上げ特例7,000万円)
                                      • 101人以上:7,000万円 (賃上げ特例9,000万円)
                                      補助率 1/2
                                      補助下限額 750万円
                                      小規模事業者持続化補助金
                                      項目内容
                                      対象者 従業員20人以下の小規模事業者 (商業・サービス業は5人以下)
                                      補助上限額 通常枠:50万円
                                      特例適用後:最大250万円
                                      補助率 2/3


                                      より詳しい情報については以下のページをご参照ください。

                                      まとめ:急速冷凍機導入がもたらす7つの経営改革

                                      本記事でご紹介した通り、業務用急速冷凍機の導入は、精肉店・食肉加工業の経営に以下のような革命的なメリットをもたらします。

                                      メリット 総まとめ

                                      1. 品質保持: ドリップと変色を防ぎ、「切りたて」の鮮度・旨味を再現。
                                      2. 歩留まり改善: 廃棄ロスをゼロにし、仕入れ原価率を大幅に改善。
                                      3. 人手不足解消: 加工作業を平準化し、少人数オペレーションを実現。
                                      4. 差別化: 冷凍ミールキットやギフト商品など、高付加価値商品を開発。
                                      5. 原価安定化: 計画的な「まとめ仕入れ」で価格変動リスクを回避。
                                      6. 販路拡大: ECや卸売りで商圏を全国に拡大。
                                      7. 衛生管理向上: 食中毒リスクを低減し、HACCP対応を強化。

                                      導入を検討すべき要素

                                      • 解凍時のドリップや変色に悩んでいる
                                      • 廃棄ロスが多く、歩留まりを改善したい
                                      • スライスや加工作業の人手が足りない
                                      • EC販売やギフト商品で他店と差別化したい
                                      • 仕入れ価格の変動が大きく、原価が安定しない
                                      • HACCP対応を強化し、衛生管理レベルを上げたい

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