3D冷凍 革命の突破口に 丸高水産

引用元:水産新聞 2021年3月9日 掲載

水産加工の進化を生み出す

前浜資源の減少など転換期を迎え、商品・経営戦略の改革に取り組む水産加工業界で導入が広がっている古賀産業㈱(山口県下関市、古賀靖社長)の「3D冷凍」。全方位から高湿度の冷気で包み込んで製品を均一に短時間で凍結。解凍後も品質が損なわれないハイグレードの冷凍加工品を生み出す新技術で、既存商品の高品質化や新規商品の開発、製造工程の効率化、商圏拡大などの突破口を開いている。導入3社に聞いた。

刺身など高品質実現 急速化で作業性向上

札幌市の丸高水産㈱(田名部實社長)は、「3D冷凍」で主力のスモークサーモンや刺身など製品全般の高品質化を追求。少量多品種の製造工程に適した性能を生かし、作業効率の向上にもつなげている。 50年前から北米産ベニザケを皮切りにチリ産トラウト、北海道産秋サケなどで手掛けてきた刺身の高品質化に向け、2016年に3Dフリーザーを導入。急速凍結の生産体制を確立し、生魚から作るワンフローズンの北海道産商材の拡充など商品力を強化した。注文に応じた商品形態で量販店や業務筋に供給。サクラマスやヒラメなどで「瞬造(しゅんぞう)くん」と名付けた自社ブランドも打ち出し、通販業者、外食チェーンなどの販路を獲得している。

また、スモークサーモンなどの凍結にも活用。従来通常の凍結庫で1昼夜を要した凍結工程が、「3D」はマイナス~40度に設定し、50分から1時間で完了。田名部社長は「製品が仕上がって直ぐに凍結、梱包ができる。作業性の向上も利点の一つ」と説明する。 18年に1台、昨年春に1台を増設し、3台体制に拡充。「処理量は1台1回80㌔程度だが、短時間で凍結できるため、1日5、6回転は可能。3台で1日1㌧以上を処理できる」と説明する。対米HACCP、JFS規格の認証取得など衛生・品質管理を強化しており、3Dフリーザーもその基盤に機能。「取引先から商品開発の要望も来るようになり、少しずつ目指す方向に動き始めている」と話す。

 

サクラマスの「瞬造くん」
3台体制で日産1㌧以上処理

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