解凍時間短く、ドリップも少ない
エアオペレーションテクノロジーズ(AOT)では、新技術を活用した急速冷凍機の製造、販売を行っており、マグロやフグの冷凍機として順調に納入実績を伸ばしている。同社の冷凍機はガスを冷媒に冷凍しており、次第の特徴は庫内に乱気流を起こすことにより、保管している食品を一方向からではなく全方向から冷凍することができることだ。
このため、庫内は湿度を保つことが可能で、食品はほとんど乾燥しない。冷凍焼けを起こすこともなく凍結できるため、真空パックなどの包装をせずに凍らせることが可能だ。食品を裸の状態で凍結庫に投入しても問題ないので、凍結時間も短くて済む。凍結時間が早いため氷結晶も小さく、解凍時間の短さ、さらには解凍後のドリップの少なさにも繋がっている。このため、ドリップの問題と切り離せない水産物の冷凍で大きな威力を発揮している。
また、乱気流を起こすことでクーラーに霜が付きづらく、冷えが悪くなったり、厚くついた霜が天井から落ちてくるなどの危険も回避される。メンテナンスも簡単なため、故障も少ないという。容量は10キロ~1トン程度までをそろえており、生産規模に合わせたものを選択できる。マイナス45℃程度までの凍結が可能だ。技術の開発にあたっては東京海洋大学と共同で取り組んでおり、養殖のブリの凍結においても、約5年をかけて高い成果を得るに至った。これだけではなくウニやねり製品など一般的に冷凍には不向きとされている水産物の冷凍においても、高品質なままに凍結することができる。
同社では「凍結前と解凍後でも違いがほとんど判別できないほど高品質での維持が可能」としており、東京支社の久場良秀支社長は「2年前に冷凍機で凍結のうえ、保冷庫で保管していた寿司を食べた時にも何の問題もなかった」と、その品質の高さに太鼓判を押す。
現状では、マグロ、フグ、ホタルイカといった鮮魚のほか、精肉関係でも利用されており、また寿司や総菜など加工度の高い食材の凍結でも効果を発揮している。冷凍機の上手な活用は、効率的な在庫管理やコストダウンにもつながるため、「多品種を組み合わせて作られる総菜など、従来の凍結期では上手に凍結させることができない、と言われていた食材でも、当社の冷凍機ならおいしさを損なわずに凍結できることもあり喜ばれている」(久場支社長)と言う。
同社では凍結期だけでなく冷凍保管庫も用意しており、冷凍機と同じく乱気流を利用した特殊技術を生かした保管庫のため乾燥などを防ぐことができる。
本社が下関にあることから、九州、中国地方など西日本で高い納入実績をもっているが、今後は東日本の各社へも紹介をしていきたいという。
(川村)
凍結後1カ月保管し、解凍したブリの色も鮮やか
水産を支える機器資材
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