広島カキ、生鮮出荷が最盛

引用元:みなと新聞 2024年2月2日 掲載

昨年末の成育遅れから回復

【広島】カキの加工を行うカネウ(広島市、村田泰隆社長)は、今シーズンの生鮮むき身マガキの最盛期を迎えている。昨年10月~12月上旬までは、海水温が下がらず降雨量も少なかったことからカキの成育が悪く、生産者から十分な原料が得られなかった。年末から年明けにかけ、海水温も下がったことでカキの成育が進み、加工用のサイズの入荷が徐々に回復傾向にある。

カネウ、冷凍加工増強へ

同社は、むき身のカキは大粒サイズである2L、3Lのものが昨年まで大幅に不足した。本来の繁忙期に生産できなかった分を取り戻すべく、現在は急ピッチの製品化が続く。選別したカキは、関西向けはロケット、関東向けはパックに梱包(こんぽう)し出荷する。品不足のため今季の仕入れは5~10%値上がった一方、製品として販売する際は10%程度値下がりしてしまっているという。結果、昨今の不安定な原料の需給や物価高により収益は圧迫されている状態だ。

3D凍結使い旬の品質維持

他方、大粒のサイズがそろってきたことから冷凍用の加工作業も並行して進む。同社では、紫外線殺菌で洗浄したカキはM、Lサイズの専用トレーに手作業で丁寧に選別。これをコガサン(山口県下関市)の急速冷凍機3Dフリーザーを使いマイナス40度で、1回に70~80キロを約1時間かけ凍結している。村田竜彦専務は「解凍時にドリップが出ない。旬のおいしいカキを最高の状態で品質維持できる」と評価している。

同社への冷凍カキの引き合いは近年増加している。味にこだわる国内の飲食店や香港をはじめとするアジア諸国への需要が高まっているためだ。カネウは昨年、経産省の中小企業等事業再構築促進事業で、加工場内の生産性を増強する体制を画策。選別機やエックス線検査機、真空包装機、冷凍カキの重量を量るウエイトチェッカーなどの機械設備の導入を近く行う。これにより、従来の3倍となる1日当たり最大で1・5トンの冷凍加工生産を目指す考えだ。

 

専用トレーに収めたカキを3Dフリーザーで急速凍結する
凍結後は丸みを帯びた商品に仕上がる

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