引用元:みなと新聞 2019年11月28日 掲載
経営戦略
吉田水産の業容拡充はステークホルダー(企業の利害関係者)との「協働」で連携軸を広げる独自の経営戦略がもたらしている。その手法として際立っているのが機を見るに敏な「大胆」な戦術。だが、それは「緻密」な計算、計画に裏打ちされている。「機敏」な行動は社員の平均年齢約40歳という「若さ」が原動力となっている。
吉田水産には「ふく陣吉田」(鮮魚出荷・小売り)▽「紫垣商店」(鮮魚加工)▽「清広食品」(棒寿司加工)▽「百福」(活魚直売)▽「魚福」(海鮮料理店)▽「関門ふく」(ギフト販売)―の6つのグループ会社がある。
さらに今年6月、吉田社長は福岡県行橋市から大分県中津市までを網羅する地方卸「行橋水産」の株主として取締役に就任。魚市場の集荷業務も手掛けるようになった。直荷引き、第三者販売を認める昨年の卸売市場法改正を視野に入れたものだ。
これに続いて9月には広域な輸送網を持つ熊本県玉名市の活魚卸・運送会社「藤木水産」に投資。同社との資本業務提携を通じて商圏を関東圏まで広げた。
卸売業務から加工、飲食、輸送まで多様な業種のグループ会社が商品の仕入れ・製造・販売網を共有することで、相互に取引の内容と規模が拡充する「シナジー」(相乗効果)が、吉田水産グループの業績伸長をもたらしている。
これには「利益を独り占めせず、分かち合うことで和が広がる」という吉田社長の哲学がある。また、「一足飛びに進むとつまずくから、一つ一つ地道に積み上げながら誠実に仕事に取り組む」という信条もこれに加わる。
このような合意形成の下で進む同社の業務は「顧客本位」で、それぞれ異なる取引先のニーズにきめ細かく対応して迅速かつ的確に安定的に商品を提供していくことを基本に据えている。
このため、加工製造機能の増強を重点的に進めており、高品質冷却の3Dフリーザーや高性能フィレーマシンなど先端機器を順次、導入している。特に品質・衛生管理は重点事項に据えて下関本社工場に続いて、福岡工場も近く大日本水産会からHACCP認証される方向にある。
吉田水産本社
『吉田水産特集/経営戦略』
2019年11月28日 18時20分 配信