水産加工・産直販売、新たな道

引用元:水産新聞 2011年2月21日 掲載

新技術「3Dフリーザー」備え、カニ・ウニ・ホッケなど全国へ高鮮度出荷

稚内市の㈱稚内シーフードセンター(橋本茂社長)は、昨年1月にレストラン・観光土産物品店経営から水産物の加工販売に業務転換し、カニ、ウニ、ホッケなどを皮切りに水産品の産直販売に乗り出している。新冷凍技術の凍結機を備え、高鮮度・高品質の商品提供を追求。ネットやダイレクトメールなど通販主体に最北の浜から全国の消費者に発信している。

旧フェリーターミナルで21年間、ドライブインとして営業してきたが、近年、観光客の減少などで来店客もピーク時の6割程度に。同ターミナルの再開発を機に、旧水産加工場を取得し、東京、名古屋のスーパー、レストラン勤務時代に培ったノウハウを基盤に水産加工に新規参入した。

生産体制の整備に当たっては、全国への冷凍品の発送で、実際に顧客が食べるまでの品質保持にこだわり、輸送時や家庭の冷蔵庫での保存温度なども考え、要となる急速冷凍装置で最新技術を比較検討。エアオペレーションテクノロジーズ㈱(山口県下関市)が開発した「3Dフリーザー」を導入した。

同装置は、食材に一方向からの強風で冷気を当てる従来のエアブラスト方式と異なり、空気分子同士の間接熱交換で作り出される立体的な振動冷気で食材全体を包み込むように冷却・冷凍する仕組み。

食材の表面乾燥や冷凍焼け、食材や庫内への着霜を大幅に抑制。また、食材にムラなく冷気を伝えるため、短時間で効率よく食材の温度を下げ、氷結晶の膨張を抑え、細胞膜の破壊を防ぐ。

マイナス35度で時間当たり20㌔の処理能力を設備。橋本社長は「かまぼこやはさみ漬けも風味、食感を損なうことなく、冷凍前の品質を再現できる。また、カニ製品では風味が落ちないのはもちろん、甘みが増す」と説明する。

自社製品は現在、活ゆで、ポーションなどのカニ製品をはじめ、サハリン産ウニの塩水パックや塩ウニ、ロシア産志摩ホッケの一夜干し、漬け魚(粕・みそ・しょううゆ・南蛮)、ベニズワイの甲羅盛り、カレイの加工鮮魚(エラ・内臓除去)など。約7万件を数える顧客へのダイレクトメール、ネット通販で販売展開。ドライブインや問屋などを売り先に卸も手掛けている。

橋本社長は「業務開始からまだ一年余りで試行錯誤の段階」と強調。「例えば、ホッケの開きなど既存商品では価格競争に陥る。地場の魚介類の取り扱いも併せて従来にない商品開発を進めながら、顧客を増やしていきたい」と、今後の経営戦略を話す。

▼㈱稚内シーフードセンター 稚内市はまなす3丁目7―8、電話0162・34・3401、FAX0162・34・3402

 

産直販売の要となる3Dフリーザー

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