高鮮度のハモを加工 骨切り、すり身1次加工で付加価値
山口県下関市の水産加工メーカー、ふく晴。当日朝に県内の瀬戸内海の各漁港に水揚げした活きハモを浜ですぐに締めて内臓を抜き、氷で魚を上下から冷やし込み、高い鮮度で陸送。午後1時までには同社に到着する。
加工場に搬入後、体表のぬめりを取り、手さばきで開く。開いたハモは有限会社サンテクノ久我とエフビックが共同開発したハモ切り機で骨切りにするか、すり身に加工する。
同社はこれまフグの加工が中心だったが「フグは最需要期の年末の扱いが中心で、夏場は工場の稼働が極端に下がり頭を抱えていた。ハモの加工は季節間格差を埋め、当社にとれば九死に一生を得たよう」と語る。
LLP事業適用は3カ年で、助成額は半額。初年度に骨切りとすり身機械、金属探知器などを導入。2年度目に生産、販売を本格化した。最終年度の今年度はさらなる付加価値向上を目指し、今月からエアオペレーションテクノロジーズの3Dフリーザーを導入。
「通常の冷凍機だと解凍時にドリップが約15%出ていたが、3Dフリーザーだとドリップが出ず、生鮮出荷と変わらない高い鮮度感が保てると納入先からの評価が高い」と米村社長は笑顔で話す。
現在は、最終加工メーカー向けに1次加工ハモとしての出荷が中心だが、今後はLLPの他、自社ブランドでのギフト用商材や量販店向け製品の開発も進める。「高級食材のハモだが規格、季節外れだとほとんど値が付かなかった特殊な魚。旬のハモを年中安定供給できる強みを生かし、多くの人に食べてほしい」と米村社長は語る。
(下関支社・佐藤れい)
最大で年間100㌧(原料ベース)の生産が可能