前浜直結工場でアナゴ加工

引用元:みなと新聞 2024年5月2日 掲載

開発チームが新商品挑戦

【島根】全国でもアナゴの水揚げが盛んな島根県。農水省の海面漁業生産統計調査では2022年における国内のアナゴ類の漁獲量は2265トンで、島根県は1位の508トンを誇り、22・4%を占める。その半数は浜田漁港を拠点とする沖合底引網で水揚げされる。港から程近い水産加工団地でアナゴ加工を行うのが令和シーフーズだ。

会社はアナゴ加工や惣菜事業などを半世紀近く運営した中村水産から20年に事業承継した。地元の山陰合同銀行などが出資する地域再生ファンドの支援の下、冷凍魚・鮮魚の仕入れ、販売を手掛ける福田水産(浜田市、福田稔社長)らがけん引し「令和シーフーズ」として再出発を開始した。代表は、同銀出身の田中修司氏が就き、経営面と製造面に手腕を発揮する。21年には食品安全マネジメントシステムに関する国際規格ISO22000を取得し、衛生管理を徹底している。

アナゴ原料は、国産を中心に中国、韓国、ペルーからの輸入も行い、安定的に仕入れている。同社の強みは加工場が持つ加工機器の数々だ。過熱蒸気焼成装置「スーパーヒーター」で過熱蒸気を発生させ、食材を焼き上げる。アナゴのかば焼きやおせち具材はふっくらとジューシーな仕上がりになる。また、高圧調理釜は、調味液に漬け込んだままの煮アナゴも加工が可能だ。製品は、大量に急速凍結できるトンネル式の3Dフリーザーを採用している。これらの設備を用い、焼きアナゴは1日に1トンの焼成および凍結能力を持つ。

田中代表は、就任当時から商品開発チームを組織し、アナゴを使った新商品作りを続けている。アナゴを細かくほぐした「あなごそぼろ」は、プレーン、コチュジャン、みそ味の3種で展開。発売以来、人気商品の一つとなった。チームメンバーが一押しなのが「焼あなご佃煮三昧セット」で、プレーンとサンショウ、ショウガの3種類のアナゴつくだ煮が楽しめる。新商品の開発は、若手社員のモチベーションにもつながっているという。田中代表は「会社にとって魚も人も財産。常に新しいことへ挑戦を続けていきたい」と士気を上げる。

●(株)令和シーフーズ●
【所在地】島根県浜田市原井町3050の33
【電話】0855・22・8001
【FAX】22・8002

 

『企業訪問』島根・浜田
新商品の「あなごそぼろ」を手にする田中代表
2024年05月02日 18時20分 配信

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