【重要】2025年10月時点の最新情報
令和7年度(2025年度)税制改正により、中小企業経営強化税制の適用期限が2027年3月31日まで2年間延長されました。
本ページは2025年10月時点の制度内容に基づいたものです。


中小企業経営強化税制とは、中小企業が生産性向上を目的とした設備投資を行う際に税制上の優遇を受けられる制度です。
急速冷凍機を導入する際、中小企業経営強化税制を活用することで、最大10%の税額控除または100%の即時償却という大きなメリットを受けることができます。

本ページでは、急速冷凍機導入時に中小企業経営強化税制を活用することによる節税効果などのメリットから具体的な申請手順まで、分かりやすくご紹介します。

急速冷凍機とは?食品業界の革新技術

急速冷凍技術の原理とメリット

急速冷凍機は、食品を-30℃から-40℃の超低温環境で短時間(1〜2時間)のうちに凍結させる画期的な技術です。
従来の冷凍方法では数時間を要していた凍結プロセスを大幅に短縮することで、食品の品質を格段に向上させます。

急速冷凍機導入の主要メリット

食材の細胞破壊を最小限に抑制:急速冷凍により氷結晶が微細化し、解凍後も食感・風味を維持
ドリップ(解凍時の水分流出)を大幅削減:栄養素の流出防止と品質保持
保存期間の大幅延長:新鮮さを保ったまま長期保存が可能
食品ロス削減:廃棄率低減によるコスト削減とSDGs貢献
生産効率向上:計画的な生産・在庫管理により業務効率化
販路拡大:冷凍商品としての新たな販売チャネル開拓

急速冷凍機が特に有効な業種

急速冷凍機は幅広い食品関連事業で活用されていますが、特に以下の業種で顕著な効果を発揮します:

業種 主な用途 導入効果
飲食店・レストラン 調理済み料理、仕込み食材 営業時間外の効率的な仕込み、品質の均一化
パン・菓子製造業 生地、焼成前後の商品 計画生産の実現、焼きたて品質の長期保持
水産加工業 鮮魚、加工水産品 漁獲量変動への対応、鮮度保持による付加価値向上
食肉加工業 精肉、加工肉製品 品質劣化防止、計画的な生産・出荷体制構築
農産物加工業 カット野菜、加工農産品 収穫時期の集中への対応、周年販売体制の確立

中小企業経営強化税制の概要【2025年最新版】

制度の基本的な仕組み

中小企業経営強化税制は、中小企業等経営強化法に基づく税制優遇措置で、経営力向上を図る中小企業の設備投資を強力に支援する制度です。
認定を受けた経営力向上計画に基づいて対象設備を導入した場合、以下の税制優遇を選択して受けることができます。

税制優遇措置の選択肢
即時償却:取得価額の100%を取得年度に一括償却
税額控除:取得価額の一定割合を法人税額から直接控除
・資本金3,000万円以下:10%
・資本金3,000万円超1億円以下:7%

2025年度税制改正による重要な変更点

令和7年度(2025年度)税制改正のポイント
適用期限の延長:2025年3月31日 → 2027年3月31日(2年間延長)
類型の見直し
  C類型(デジタル化設備)を廃止
  E類型(経営規模拡大設備)を新設
  現在の対象類型:A類型・B類型・D類型・E類型
A類型・B類型の要件見直し:生産性向上の指標がより具体的に

対象企業の要件

中小企業経営強化税制の対象となる企業は、以下の要件を満たす必要があります:

業種 資本金要件 従業員数要件
製造業、建設業、運輸業等 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下
ゴム製品製造業 3億円以下 900人以下

【対象外業種】
電気業、水道業、鉄道業、航空運輸業、銀行業、娯楽業(映画業除く)等は対象外となります。
また、大規模法人の子会社等も除外される場合があります。

急速冷凍機導入で受けられる税制優遇

KOGASUN 3Dフリーザー®

中小企業経営強化税制の
生産性向上設備で
申請容易な A類型
該当します

【適用期限:2025年度末 (2026年3月31日)】

急速冷凍機がA類型(生産性向上設備)に該当する理由

急速冷凍機は、中小企業経営強化税制のA類型(生産性向上設備)として認定されます。これは、急速冷凍技術が以下の生産性向上要件を満たすためです:

A類型認定の根拠
生産性向上率:旧モデル比で年平均1%以上の生産性向上を実現
指標の改善
  単位時間当たり生産量の向上
  歩留まり率の改善
  投入コスト削減率の向上
工業会証明:日本冷凍空調工業会等が証明書を発行
販売開始時期:10年以内に販売が開始された設備

具体的な節税効果の試算

急速冷凍機導入による税制優遇の効果を、具体的な投資額で試算してみましょう:

設備投資額 即時償却の効果 税額控除の効果(10%) 税額控除の効果(7%)
500万円 約150万円の課税所得減少 50万円の税額控除 35万円の税額控除
1,000万円 約300万円の課税所得減少 100万円の税額控除 70万円の税額控除
2,000万円 約600万円の課税所得減少 200万円の税額控除 140万円の税額控除
3,000万円 約900万円の課税所得減少 300万円の税額控除 210万円の税額控除

【節税効果の注意点】
・税額控除の上限は法人税額の20%相当額です
・即時償却は法人税率(通常23.2%)を乗じた金額が実際の節税効果となります
・どちらの優遇措置がお得かは、企業の利益状況や資金繰りによって異なります

対象設備と要件の詳細

機械装置としての要件

急速冷凍機が中小企業経営強化税制の対象となるためには、以下の要件を満たす必要があります:

項目 要件 詳細
設備区分 機械及び装置 急速冷凍機本体、付帯設備含む
取得価格 160万円以上 1台または1基の価格(税抜)
販売開始時期 10年以内 新品の設備が対象
生産性向上 年平均1%以上 旧モデル比での向上が必要
証明書 工業会証明必須 日本冷凍空調工業会等が発行

その他の対象設備(参考)

急速冷凍機以外にも、以下の設備が中小企業経営強化税制の対象となります:

  • 器具・備品:30万円以上(6年以内に販売開始)
  • 建物附属設備:60万円以上(14年以内に販売開始)
  • ソフトウェア:70万円以上(5年以内に販売開始)

設備投資総額の上限

中小企業経営強化税制では、設備投資総額の上限が60億円に設定されています。
ただし、一般的な急速冷凍機の導入においてこの上限に達することはほとんどありません。

申請の流れ

A類型(生産性向上設備)の申請手順

急速冷凍機導入でA類型の認定を受けるための具体的な手順を解説します:

① 設備メーカーへの証明書発行依頼

導入予定の急速冷凍機について、メーカーまたは販売店を通じて工業会証明書の発行を依頼します。
証明書には生産性向上要件を満たすことが記載されます。

② 経営力向上計画の策定

取得予定の急速冷凍機を記載した経営力向上計画を策定します。
事業の現状分析、課題、改善目標、具体的な取組内容を明記します。

③ 主務大臣への認定申請

経営力向上計画に工業会証明書(写し)を添付して、事業所管の主務大臣に認定申請を行います。標
準処理期間は30日です。

④ 設備の取得・事業供用

認定後に急速冷凍機を取得し、事業の用に供します。
原則として認定前の取得は対象外ですが、60日ルールが適用される場合もあります。

⑤ 税務申告での適用

確定申告時に所定の書類を添付して税制優遇措置を適用します。
即時償却または税額控除のいずれかを選択します。

60日ルールについて

設備取得と認定申請のタイミング
原則として経営力向上計画の認定後に設備を取得する必要がありますが、以下の場合は例外的に認められます:
・設備取得日から60日以内に経営力向上計画が受理された場合
 ただし、この場合でも計画の認定が確実に受けられる保証はありません
 リスク回避の観点から、可能な限り認定後の取得をお勧めします

申請に必要な書類

書類名 発行者 用途
経営力向上計画認定申請書 申請者 計画の認定申請
工業会証明書 日本冷凍空調工業会等 A類型要件の証明
設備の仕様書・カタログ メーカー 設備概要の説明
投資計画書 申請者 投資効果の説明
財務状況を示す書類 申請者 財務基盤の確認

導入事例・成功事例

飲食店での活用事例

事例1:イタリアンレストラン A社
導入設備:急速冷凍機(取得価額800万円)
税制優遇:税額控除10%を選択(80万円の節税効果)
導入効果
 ・営業時間外での効率的な仕込み作業が可能に
 ・食材ロス30%削減によるコスト削減
 ・冷凍パスタソースの開発により新商品ライン確立
 ・テイクアウト事業への展開が実現

パン製造業での活用事例

事例2:ベーカリー B社
導入設備:急速冷凍機(取得価額1,200万円)
税制優遇:即時償却を選択(約360万円の課税所得減少効果)
導入効果
 ・パン生地の冷凍保存により計画生産が可能
 ・深夜作業の削減による労働環境改善
 ・冷凍パンの通販事業開始により売上20%向上
 ・品質の均一化により顧客満足度向上

水産加工業での活用事例

事例3:水産加工業 C社
導入設備:急速冷凍機(取得価額2,000万円)
税制優遇:税額控除10%を選択(200万円の節税効果)
導入効果
 ・漁獲量の変動に左右されない安定供給体制確立
 ・鮮度保持により高付加価値商品の開発
 ・輸出市場への参入により売上40%増加
 ・原料魚の歩留まり向上により利益率改善

即時償却 vs 税額控除の比較・選択指針

それぞれの特徴と効果

項目 即時償却 税額控除
節税の仕組み 取得価額の100%を初年度に償却 取得価額の7%または10%を税額から控除
節税効果の実現 課税所得の減少により法人税が軽減 法人税額から直接控除
効果の大きさ 法人税率に依存(通常23.2%) 確定的(7%または10%)
資金繰り効果 初年度の大幅な節税効果 毎年一定の節税効果
将来の減価償却 2年目以降の償却費なし 通常通り減価償却を継続
適用条件 赤字法人でも適用可能 法人税額が発生している場合のみ

選択の指針

▼即時償却を選ぶべき場合

  • 設備投資年度に大きな利益が見込まれる
  • 資金繰り改善を最優先したい
  • 将来の業績に不安がある
  • 設備投資による節税効果を最大化したい

▼税額控除を選ぶべき場合

  • 継続的に安定した利益を確保できる
  • 確実な節税効果を求める
  • 将来の減価償却メリットも活用したい
  • 税額控除率が高い(10%適用)企業

実際の選択例

▼設備投資額1,000万円の場合の比較(法人税率23.2%想定)

優遇措置 初年度節税効果 総節税効果 推奨ケース
即時償却 約232万円 約232万円 資金繰り重視、高利益年度
税額控除(10%) 100万円 100万円+将来の償却メリット 安定経営、確実性重視
税額控除(7%) 70万円 70万円+将来の償却メリット 中規模企業、リスク回避

よくある質問(FAQ)

Q1. 急速冷凍機の導入で必ず中小企業経営強化税制を利用できますか?

急速冷凍機自体が対象設備の要件(160万円以上、10年以内販売開始等)を満たし、工業会証明書を取得できれば、A類型として申請可能です。
ただし、経営力向上計画の認定は内容によって判断されるため、確実ではありません。事前に専門家にご相談されることをお勧めします。

Q2. 中古の急速冷凍機でも税制優遇を受けられますか?

中小企業経営強化税制の対象は「製作の後事業の用に供されたことのない(新品の)生産等設備」に限定されているため、中古の急速冷凍機は対象外となります。
新品の設備のみが対象です。

Q3. 急速冷凍機を複数台導入する場合の取り扱いはどうなりますか?

複数台導入の場合、各台の取得価額が160万円以上であれば、それぞれが対象設備となります。
総額での判定ではなく、1台または1基ごとの価額で判定されます。
ただし、設備投資総額の上限(60億円)にはご注意ください。

Q4. リース契約で急速冷凍機を導入する場合も対象になりますか?

所有権移転外ファイナンス・リース契約の場合でも、一定の要件を満たせば対象となります。
リース期間や契約内容によって取り扱いが異なるため、リース会社や税理士と事前に確認することが重要です。

Q5. 経営力向上計画の認定にはどの程度の期間がかかりますか?

標準処理期間は30日とされていますが、申請内容や時期によって前後する場合があります。
また、書類に不備がある場合は追加で時間がかかることもあるため、余裕をもったスケジュールで申請することをお勧めします。

Q6. 税額控除の上限20%に達した場合はどうなりますか?

税額控除額が法人税額の20%を超える場合、超過分は翌期に繰り越すことができません。
このため、大規模な設備投資を行う場合は、即時償却を選択する方が有利になることがあります。
事前にシミュレーションを行い、最適な選択をすることが大切です。

Q7. 2027年3月31日の期限間際でも間に合いますか?

適用要件は「2027年3月31日までの間に対象設備を事業の用に供すること」です。
経営力向上計画の認定、設備の取得・設置、事業供用開始までを考慮すると、遅くとも2026年中頃には検討を始めることをお勧めします。

Q8. 他の補助金と併用することは可能ですか?

中小企業経営強化税制は税制優遇措置であり、補助金とは別の制度のため、基本的には併用可能です。
ただし、補助金の種類によっては制限がある場合もあるため、各補助金の要項を確認し、必要に応じて関係機関にお問い合わせください。

まとめ:急速冷凍機導入による競争力強化と節税の実現

急速冷凍機の導入と中小企業経営強化税制の活用は、食品関連事業者にとって競争力向上と大幅な節税効果を同時に実現できる絶好の機会です。

ポイント総括
1.大幅な税制優遇:最大10%の税額控除または100%の即時償却が可能
2.延長された制度:2027年3月31日まで適用期限が延長(2年間の猶予)
3.A類型での申請:急速冷凍機は生産性向上設備として認定可能
4.幅広い業種で活用:飲食店、製造業、加工業等で導入効果を発揮
5.投資効果の最大化:食品ロス削減、品質向上、販路拡大による収益改善

制度の活用には適切な手順と専門的な知識が必要です。
特に経営力向上計画の策定や工業会証明書の取得には専門性が求められるため、早期の準備と専門家との連携が成功の鍵となります。
2027年3月31日の期限を考慮すると、設備導入検討から認定申請、実際の導入まで十分な時間を確保することが重要です。

中小企業経営強化税制申請のご相談について

申請でお困りの際は、よろず支援拠点や商工会議所、認定支援機関(税理士・中小企業診断士等)にご相談ください。
無料相談から有料サポートまで、様々な支援体制が整っています。

注意事項
※本ページの情報は2025年10月時点のものです。
制度の詳細や最新情報については、中小企業庁のホームページや専門家にご確認ください。
また、本ページの内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の申請可否や採択を保証するものではありません。

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